マーケティング戦略

意外と知られていない「検索データ」の戦略的活用法

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検索結果のデータは、いまやマーケティングの戦略立案を行う上で欠かせないものです。消費者が検索という行動を通じて表現したニーズを集約したものであることから、「顕在化したニーズ」の集合体として捉えられ、頻繁に活用されています。たとえば関連語句のボリュームが急増する(=サーチリフト)時期を知ることで、販促のタイミングや商品のライフサイクルを見直すといった動きは、よく見られます。

しかし、検索データの活用というと、キーワードの検索数など“量的”な要素にばかりフォーカスされることがほとんどで、消費者が検索窓に打ち込んだ“生のニーズ”の分析・活用に目を向けられることは、さほど多くありません。検索データの“質的”な一面をマーケティング戦略に活かすという方法については、あまり知られてないのが現状ではないでしょうか。

今回は、検索データから消費者の「潜在ニーズ」を見つけ出し、それをどのように戦略的な施策に生かせるのか、具体例を用いて示したいと思います。

1. ワンボックスカーに見る潜在ニーズ

検索データの質に注目して分析を進めるにあたり、商材としてワンボックスカーを取り上げ、Yahoo!ディスプレイネットワーク(YDN)を中心に集客しました。その上で複数のランディングページを用意し、特定の車種のページまで遷移したユーザーのみを対象にして、検索クエリを確認するという調査を行いました。同時に、ワンボックスカーと比較的親和性の高いスポーツ、アウトドアに関連した商材カテゴリーに注目し、その中でどのような検索クエリがサーチリフトを起こすのかを分析しました。
すると、「車中泊」や「オートキャンプ場」、「キャンプ用品」といった、ワンボックスカーから連想できる親和性の高いクエリの他に、「釣り」や大手釣り具店の名称において、想定外のサーチリフトが起きていたことがわかりました(図1)。

図1

出典:Yahoo! JAPAN(2014年6月)

この結果からターゲットとなる消費者のニーズを探ると、まず「この車のファンには、特に釣り好きが多いのではないか」という仮説が立てられます。そこで、広告を出す場合の訴求ポイントとして、釣りに出かける際のアウトドアライフにマッチした「収納性」や「機動性」を重視した広告クリエイティブを作成するというアイディアを導くことができます。さらに、釣り好きのターゲット層に対してオウンドメディアで釣りをテーマにしたコンテンツを展開するという、コンテンツマーケティングの領域での応用も考えられます(図2)。

図2
検索クエリでキャンプや釣りという趣味を見つけることにより、車の訴求ポイントを確定し、それにあったコンテンツを作成するというフロー

2. 検索データとコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングには、潜在顧客の潜在ニーズをコンテンツという形にして、彼らの興味関心にマッチした役に立つ情報を展開することで、関係性をより高めていく役割があります。一方で、検索結果にフォーカスしたマーケティングは、目的とするランディングページへ効率的に多くの集客を行うという役割を担ってきました。そのため従来の検索データの活用法からすると、コンテンツマーケティングとは関係性の薄い、むしろ対極にあるニーズに効果があるものと思われがちです。しかし、実は検索クエリという具体的な言葉によって表される潜在ニーズは、コンテンツマーケティングを行う上で非常に有益なデータなのです。

図3
従来は検索はランディングページへの集客だけだったが、検索データはクリエイティブの見直しやコンテンツの作成に利用できる

図3は、検索データをコンテンツマーケティングの分野で活用した例をまとめたものですが、消費者インサイトを理解するために検索データを活用し、さらにそこから消費者の潜在ニーズを把握して新たなマーケティング施策に生かすという流れがおわかりかと思います。

このように、検索データをサーチリフトなどのボリュームのみで捉えるのではなく、検索内容という質的な観点からニーズを読み解いて自社メディアのコンテンツに活用するというアプローチは、今後ますます重要になってくるといえるでしょう。

著者プロフィール

堀江 亮介(ホリエ リョウスケ)

データアナリシスチームマネジャー。2009年度ヤフー株式会社新卒入社。パートナーセールス(広告代理店向け営業)、地方拠点立ち上げ、営業戦略立案、マーケットリサーチなど幅広い業務を担当。現在、マーケティングソリューションズカンパニーマーケティング本部リサーチアナリシス部にて、データ分析、および他部門間連携業務に従事。

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