マーケティング戦略

月間ユーザー6,000万人超の検索の力が日本の食卓を変える!? ビッグデータの底力

記事内容の要約

  • たべみるは、「食」に関するリアルタイムな市場ニーズを分析するサービス
  • 検索は「これを食べたい」という未来に向けた行動、だからニーズがわかる
  • 当初は、データの持つ力をクックパッドの社内外でも生かしきれなかった
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2014年1月にリニューアルスタートしたクックパッド株式会社のデータ分析サービス、「たべみる」。食品会社や食品卸売業、小売業、調理器具メーカーまで、食に携わるあらゆる企業が利用できるサービスだ。その基盤となっているのは、クックパッドが2009年以降に蓄積してきた「レシピの検索データ」である。「何を食べようかな……」という生活者のニーズを表した検索データから何がわかり、食品産業をどう支援するのか。クックパッド株式会社 データビジネスグループ 中村耕史氏に聞いた。

ハロウィンでも人気の「ギョーザの皮」

「ハロウィンの時期になると、〈ギョーザの皮〉の検索が増える」――。こう聞くと、多くの人は「なぜハロウィンなのにギョーザ?」と疑問に思うだろう。ハロウィンと聞いて一般に連想するのは、カボチャを使った料理や、子どもたちにプレゼントするお菓子類だからだ。

ギョーザの皮で簡単にハロウィンのモチーフが作成できる
ギョーザの皮を使った料理例

提供:クックパッド どんなメニューもハロウィンになる*by Lillico(外部サイト)

白くて柔らかく、どんな形も変形できるギョーザの皮は、実はハロウィンの定番である“お化け”の形がつくりやすく、料理好きの間では欠かせない素材となりつつある。モチーフとして型抜きするほか、皮に具を入れて焼き、海苔を切って顔をつくれば食べ応えのある立派な一品料理になる。こうしたイベント料理は、ともすれば定番に走りがちだが、生活者の工夫により食材もメニューもどんどん進化を遂げている。「ハロウィンにおけるギョーザの皮」はその典型だ。このように、まだ一般には知られていないが、次のブームになりそうな“兆し”はあちこちに潜んでいる。

クックパッドが提供する法人向けビッグデータ分析サービス「たべみる」は、こうした生活者の日々の食に関する“兆し”の発見を支援するサービスだ。中村氏は「食に対するニーズの変化を、さまざまな切り口で分析できるサービスです」と語る。

POSデータだけでは実現できない、生活者ニーズ

たべみるは、月間ユーザー数6,269万人・230万品以上(2016年2月現在)のレシピを持つ日本最大のレシピサイト「クックパッド」の検索データを基盤としている(*ブラウザベースまたは端末ベース)。

たべみるのサイト

クックパッドでは「かぶ×白菜」といった食材同士を掛け合わせた検索や、「ココナツオイル×カレー」のように調味料と料理名で組み合わせた検索など多種多様だ。なかには節約意識を反映した「大根×使い切り」といった検索もある。

検索キーワードは多様でも、共通していることが1つある。それは、レシピを検索する人はいずれも「今日この食材/メニューを食べたい」という明確な意思を持っていることだ。レシピ検索には、生活者の食に対する<今>のニーズが詰まっている。それが日本全国から集まれば、地域ごとの特性が見え、経年で追うことでニーズの変化が把握できる。

「店頭の販売実績データ(POSデータ)を見れば、人気の食材や傾向はわかるのでは」という意見もあるが、従来のPOSデータとたべみるには大きな相違点がある。

POSデータの場合、商品が入荷されて、生活者の目に触れる場所で適正な価値で売られていないと、実績値として積み上がらない点だ。お店や商品の状態に左右されるものであり、必ずしも「POSの購買傾向=生活者自身のニーズ」とはいえない。

ココナッツオイルの検索頻度推移―春過ぎから徐々にブームの兆しが見えていた
たべみるでのココナッツオイルの検索頻度推移を表した画像

提供:クックパッド

一方のたべみるでは「ニーズ」がわかる。たとえば2014年に注目された食材に「ココナッツオイル」がある。たべみるでは2009年にすでに検索行動が生じ、2013年にはその数がみるみる増えていったという。当時はお菓子関連の検索が主だったが、ブームになると、ココナッツオイルを使ったサラダやカレーなど、さまざまなメニューの検索が急増した。このように、ニーズの萌芽はブームになる以前に生まれている。この兆しが見えるかどうかが、「結果」のPOSデータと「ニーズ」のたべみるの最大の違いだ。

「クックパッドのデータが持つ可能性」を信じて大幅リニューアル

今や食品会社や食品卸業、小売業、また調理器具メーカーに至るまで、食に関する様々な企業が利用しているという「たべみる」だが、2007年に最初のサービスがはじまり、2014年に大きなリニューアルを行った。2007年当時は、レシピサービスの拡大に注力していた時期でもあり、このデータ資産を生かし切るだけのリソースを確保するのが難しかったという。

クックパッドに入社する以前、リサーチ会社に勤務していた中村氏は当時から「クックパッドが持つ膨大なデータは宝の山だ」と感じていた。そんな中村氏がクックパッドに入社したのは2011年4月末のことだ。「将来、さらに需要が見込まれるデータビジネスを加速したい」と、それから3年近くをかけて大幅なリニューアルを実現した。


クックパッド株式会社トレンド調査ラボ「たべみる」事業責任者 中村耕史氏

中村氏は「データの持つ可能性を、社内外の人々にもっと知ってもらい、その可能性を体感してもらいたかったんです」と話す。

データの持つ可能性とは「クックパッドのデータを使えば、食に関する流行の兆しやニーズの変化を捉えられる」というものだ。なぜそんな未来の検知が可能なのか。実はそれこそが、インターネット企業の持つデータの「強さ」なのだ。後編「ハロウィンに『ギョーザの皮』が売れる理由: たべみるに見る市場ニーズのつかみ方」では、ネット企業ならではのデータの持つ力と、活用するための工夫を紹介する。

前編を読む | 後編を読む

プロフィール

たべみるの中村氏

クックパッド株式会社 中村 耕史氏

1983年生まれ、クックパッド株式会社データビジネスグループ。2011年クックパッド株式会社入社。事業部門にてアンケートシステム導入・広告効果測定などの業務を経験。データサービス「たべみる」のリニューアルに取り組む。著書に『「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力』。

たべみる(外部サイト)

 
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