マーケティング戦略

Oisix流 リアルタイム分析×カスタマーボイスが大きな成果を生む

記事内容の要約

  • 創業時から実施する徹底したヒアリングと、それを生かした施策
  • 顧客行動のリアルタイム分析で実店舗と同様の迅速さをECサイトで実現
  • ビッグデータ分析と“カスタマーボイスの収集”の両輪でECサイトの売り上げ向上
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データ分析の専門チームの設置とビッグデータ分析のしくみによって、ECサイト改善のスピードを大きく高めたオイシックス。ただし、同社のマーケティング施策が実質的な成果をあげている要因は、組織改革やデジタル技術の活用だけではない。成功の背後には、創業以来、地道に続けてきた顧客理解へのアプローチがある。

わからないことは顧客に聞け!

言うまでもなく、ECサイトでは人と人、あるいは店員と顧客とのリアルな接触は存在しない。それでも、ECサイトが消費者から選ばれ、ファン層を拡大させるには、“顧客の生の声”の収集や分析が不可欠というのがオイシックスの考え方だ。

こうした考え方に基づき、オイシックスでは、ECサイト上でおすすめ商品の特集やキャンペーンを実施した際や、顧客の入退会の際には必ずアンケートによって顧客の意見や感想を聞き取り、背後のファクトを確認してきた。場合によっては、コールセンターから顧客に連絡をとって意見を聞いたり、社長が直接顧客を訪問し、その声を収集したりもするという。

商品購入時に実施されるアンケート例
商品購入時のアンケート例として、家族の人数をたずねるアンケートフォーム

実は、この顧客理解の取り組みは、同社の創業時から続けられているものだ。創業時、オイシックスには若い男性社員しかいなかった。その陣容によって、安心・安全の食材を「家事を預かる主婦層」に向けて販売するには、主婦層の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、それぞれのライフスタイルやニーズを知る以外に手だてがなかったわけだ。

そのような顧客理解の地道な取り組みが事業の成長へとつながり、いつしか、“顧客の生の声”に耳を傾けることが、同社のビジネススタイルとして根づいていった。そして、何ごとを行うにも顧客の意見や感想を可能な限り収集し、そのファクトを次の施策に反映させてきたのである。

データ分析は顧客満足こそ真のゴール

オイシックスが進めるデータ分析・活用の取り組みも、ある意味で、生の声をもとにした顧客を理解する取り組みの延長線上にあるものといえる。

2015年に新設されたデータ分析の専門組織「データ分析セクション」のマネージャーで、EC事業本部 戦略推進室の米島和広氏はこう話す。


データ分析セクション マネージャー 米島和広氏

「われわれの考える“データ分析”とは、顧客理解の施策にほかなりません。もちろんビジネスなので、ゴールはマーケティング施策を成功に導くことにありますが、本質的な目的はお客さまに満足していただくことにあるのです」

ECサイト上での顧客の行動ログをリアルタイムに分析するためのツールを導入・活用しているのも、上記の目的を果たすための手段であるという。

「そもそもデータの抽出・収集・集計に時間がかかっていたのでは、迅速な意思決定を下すことも、お客さまの要求にスピーディーに対応していくことも不可能です。また、データにまつわる作業は、それ自体が目的化してしまう場合が往々にしてあります。ツールの利用は、データ分析・活用をめぐるそうした問題やリスクを解決・解消するためのものといえます」

実際、データ分析セクションがデータ活用のベストプラクティスを各部門へ展開するようになってから、オイシックス社内のデータ分析に対する目的意識が、単なる状況の把握や施策の成否の割り出しから、分析結果に基づいた施策を打ち出し、結果を導くことへとシフトしているという。

「現在なら、お客さまのライフステージの変化に応じて、食材の提案内容を変えることができます。また10万人の会員それぞれに応じた画面表示をさせることも可能です」

このように顧客理解をサイト改善のアクションに結びつけることで、顧客満足を高め、ECサイトの売り上げアップへとつなげることができるのである。

リアルタイム分析とアンケートが支える深い顧客理解

ECサイト上の顧客行動のリアルタイム分析は、実店舗の店員が、顧客の振る舞いや動きからそのニーズを察知するのと同じ機能をECサイトに持たせる施策でもある。

「当社では2016年3月現在、約30店の実店舗を運営していますが、各店ではお客さまの動向やニーズをとらえながら、臨機応変に商品の陳列を変更するなどの施策をとっています。ECサイトでも、行動ログなどのリアルタイム分析を通じてサイト改善の意思決定・施策展開のスピードが増したことで、実店舗同様の迅速さで、臨機応変にお客さまの要望に応えることが可能になりました」と、米島氏は話す。

オイシックスの実店舗 Oisix恵比寿三越店

とはいえ、ECサイト上での顧客の行動ログや購買データの収集・分析だけでは、行動の背後にある顧客の動機づけやライフスタイルまでは把握できない。つまり、顧客は何に惹かれてその商品やキャンペーンに反応し、購買に至ったのか、その理由や価値観までは正確にとらえることができないわけだ。そうした顧客理解の欠落を補完するのが、先に触れた「顧客の生の声」であり、その収集と分析がなければ、本当の意味でのファクトに基づく施策改善はなしえない、といえる。

膨大なデータのリアルタイム分析によってECサイトの迅速な改善を進める一方で、顧客の声を地道に収集していく──。この両輪でマーケティングのPDCAを回し、ECサイトの会員数やファン層、ひいては売り上げを拡大させているオイシックス。同社の取り組みは、ECサイトの運営に携わるすべてのマーケターにとって大いに参考になるに違いない。

プロフィール

オイシックス株式会社 米島和広氏のプロフィール画像

オイシックス株式会社 米島 和広氏

米国系SIer、インド企業を経て、2008年オイシックスに入社。新規事業(海外/卸/JV)の立ち上げ、運営に関わる。2011年より、全社の分析・テクノロジーマーケティングを担当し、データプラットフォーム構築を手がける。

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