マーケティング戦略

CLUB PanasonicのCRM戦略[前編]~オンライン会員820万人の声から販売機会を創出する~

記事内容の要約

  • 顧客IDとニーズをクロスブランドで把握する「CLUB Panasonic」
  • 利用者のみ書き込み可能なレビューサイトを活用。約44%のユーザーがレビューを参考に購入
  • 商品の「体験の場」をオンラインからリアルへと拡張
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自社商品の「販売への貢献」と「販売機会の創出」という大目標の達成に向け、企業はどのような取り組みを展開しているのだろうか。パナソニックのCRMサイト「CLUB Panasonic」では、会員による“商品体験”の場をオンラインからオフラインへと押し広げ、大きな成果をあげている。背後には、どのような施策の変遷と実績の積み上げがあったのか─。CLUB Panasonic発展の経緯を追う。

オンラインサービスの利便性向上を契機に

会員数820万強/月間2億2000万PV─。「CLUB Panasonic」(*1)は、メーカーが運営するCRM(顧客関係管理)サイトとしては日本最大級の規模であり、もともとは2007年11月にパナソニック公式の「愛用者登録の場」という位置づけで誕生したサイトだ。

ポータルサイト風にデザインされているCLUB Panasonicのサイトトップ

CLUB Panasonicの開設以前、パナソニックのコンシューマープロダクト(家電製品・情報機器)のサイトでは、商品ごとにネットを通じて「愛用者登録」が行われている商品とされていない商品があり、顧客データが個別に収集・管理されてきた。そのため、同じパナソニックの商品でありながら、オンラインサービスを使う際のIDが異なり、サポートサービスにもムラがあったという。

「そうしたお客さまにとっての“不便さ”を解消し、商品力をアップさせることがCLUB Panasonic開設の大きな目的でした」と、クラブパナソニック運営部プランニング課 主務の森亮二氏は振り返り、さらにこう説明を加える。

「例えばブルーレイ/DVDレコーダーのDIGA(ディーガ)は外出先からオンラインでの予約録画が可能ですが、こうしたネットを経由したサービスも、同じパナソニックのサービスにも関わらず、かつては商品ごとに異なるIDを使用していたために非常に使いにくかったのです。そこで、そうしたサービスをCLUB PanasonicのIDで一本化し、利便性を高めようと考えたわけです」

商品の垣根を越えた顧客ニーズをとらえる

上述した取り組みは、オンラインを通じた「顧客サービスのワンフェース化」の施策といえ、特定の商品と顧客とのつながりのみならず、「パナソニック製品全体(あるいは、パナソニック)と顧客とのつながり」を強める活動の一環でもある。

CLUB Panasonicでは「販売への貢献、販売機会の創出」という主目的の達成に向け、「愛用者アンケート」を通じた顧客の声の収集と、それに基づく「商品開発」にも力を注いできた。現在では、さまざまな商品開発において愛用者アンケートが役立てられている。

また販促面においては、商品の垣根を越えた共通の特徴を分析し、訴求展開を実施。「50インチ以上のテレビ所有者が広い住宅に居住している点に注目し、所有者の類似特徴があるマッサージチェアのキャンペーンを50インチ以上のテレビ所有者に限定してメールで告知したところ、販売面でも大きな成果を上げることができました」(森氏)

製品購入者の声を商品認知に生かす

CLUB Panasonicは、パナソニック製品の購入者、あるいはパナソニック製品に興味を持つ消費者が集う場であることから、商品の魅力を訴求し、それらのクロスセル/アップセルにつなげる販促の施策を打つうえでも有用といえる。実際、CLUB Panasonicでは2008年以降、「商品認知」を広げる施策に力を注ぎ、製品に関連したクイズなどを利用したキャンペーンを展開。年間延べ数千万人のサイト来訪者を各商品サイトへ誘導してきた。また、商品の特徴をわかりやすく伝える「動画」の視聴を促進し、会員による動画再生件数を年間数千万回のレベルにまで押し上げている。

CLUB Panasonicのサイトにある「お客様の声」のタブから「みんなのレビュー」を見ることができる

さらに、製品の購入者・愛用者の口コミサイト「みんなのレビュー」(*2)を通じて、商品の魅力を「顧客の生の声」で伝える施策も展開している。このサイトは商品の実購入者・愛用者だけがレビューを投稿できるもので、約850商品に対して約1万6600件のレビューが掲載されている。同サイトの来訪者1万人に対してアンケートを実施したところ、「サイトを見て実際に商品(パナソニック製品)を購入した人」は全体の約44%に上り、約94%が「今後の商品購入の際に参考にする」と答えたという。

商品体験の場をリアルに広げた転機「レンタルサービス」

「みんなのレビュー」は、製品利用者の実体験の共有によって消費者の購入意欲を喚起する優れた施策といえる。だが、そもそもパナソニック製品に実際に触れ、その魅力を体験した消費者が増えなければ、情報の発信力・充実度にも限界がくる。また、商品のなかには、口コミや動画を含むオンライン情報だけではその使い勝手や優位性が伝え切れないものもある。

そこでCLUB Panasonicでは、2013年から「リアルな商品体験」をマーケティング上の重点施策に据え、会員が商品に実際に触れる機会を増やし、それによって「販売」を増進させるという施策に力を注いでいる。その1つが、レンタルによって商品の使い勝手を体験させる取り組みだ。

「例えば、プライベート・ビエラというポータブル型デジタルテレビは、実際に自宅で使用してみなければ電波がしっかりと届くかどうかがわかりません。そこで、CLUB Panasonic会員向けにレンタルサービスを告知したところ、延べ約5万4000人の応募があり、抽選で約3000名の方に体感していただきました」(森氏)。またその際、応募者限定でキャッシュバックキャンペーンも展開したところ、レンタル体験者の商品購入率は未体験者のおよそ5倍に達した。


パナソニック株式会社 クラブパナソニック運営部プランニング課主務 森亮二氏

加えてCLUB Panasonicでは、パナソニック製品の体感イベントに会員を誘導する施策も積極的に展開し、2015年10月にはCLUB Panasonic会員限定の体感イベント「クラブパナソニック ファンフェスタ」を開催。想定を超える成果をあげている。

後編では、O2O(オンライン・トゥー・オフライン)施策として位置付けている体感イベント「クラブパナソニック ファンフェスタ」を通じ、商品やブランドにより愛着を持ってもらうことで、ロイヤルカスタマーを増やそうとする、新たな取り組みの詳細を紹介する。

前編を読む | 後編を読む

注釈:
(*1)CLUB Panasonic(外部サイト)
(*2)みんなのレビュー(外部サイト)

プロフィール

パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 デジタルマーケティングセンター クラブパナソニック運営部 プランニング課主務 森 亮二氏

2008年 パナソニック株式会社入社。コンシューマーマーケティング ジャパン本部において、国内のエアコン、空気清浄機のマーケティング企画を担当。その後、大手家電量販店、通販業態店本部に向けた商談および販促企画を担当。2014年より現職。会員サイトCLUB Panasonicにおける、デジタル販促企画を担当。

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