ビジネス創出

マネーフォワードが変える、お金の明日:FinTech企業のAPIエコノミーの形[前編]

記事内容の要約

  • 情報提供特化型のFinTechサービスであるマネーフォワードは、30~40代のビジネスマンを中心に350万ユーザーを獲得
  • アカウントアグリゲーション技術に磨きをかけ、マネーフォワードの差別化の源泉に
  • マネーフォワードAPIを提供することで、サービスをプラットフォーム化。業界全体を巻き込んだエコシステム形成へ
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350万人が利用する自動会計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」(*1)を展開する株式会社マネーフォワード(*2)は、APIを通じ金融エコシステムの形成に意欲的に取り組むFinTech企業としても話題を集めている。同社が一貫してめざすのは、「情報」による「ユーザーの不安・課題の解消・解決」。APIを活用した、ユーザー視点の金融サービス革新の未来図を聞いた。

“情報”が変える消費者とお金のつきあい方

わたしたちは日々、クレジットカードや銀行ATMといった金融サービスを利用している。人によっては用途を分けて複数口座を持ち、資産運用のために証券会社にも口座を持っているかもしれない。

マネーフォワード(以下、MF)は、そうした銀行・証券、クレジットカードの利用履歴や口座残高を一括管理し、自動で家計簿を生成するサービスだ。スマートフォン/タブレット向けのアプリ、パソコン向けのウェブサービスが提供されており、30代~40代のビジネスパーソンを中心に350万人のユーザーに愛用されている。

マネーフォワードのウェブサイトのトップページ

MFの大きな特長は、2,580社以上もの金融関連のサービスと連携し、各金融機関から情報を集約できる点にある。これだけ多くの金融関連サービスに対応していれば、自分の利用する銀行がサービスに対応しておらず目的が果たせない、といったことがほとんどない。

「創業以来一貫してめざしてきたのは、“お金に関するユーザーの不安解消”です。この目的を果たすために当社が選択したのが、ユーザーの経済活動に関するあらゆる情報を集約・提供するというアプローチです。その帰結として開発されたのがMFにほかなりません」と、株式会社マネーフォワードの取締役CTO 浅野千尋氏は語る。

昨今ITによる金融サービスの変革が進み、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた「FinTech」という単語で語られるようになってきた。マネーフォワード社もそうした潮流の中心にある企業の1つだ。

ただし、MFはカード決済を行うウェブサービスや電子マネーサービスのような、「お金を直接扱う」サービスではない。あくまでも「お金の情報」を扱うサービスであり、マネーフォワード社の事業ドメインも「お金を扱うサービス」には置かれていない。その理由を浅野氏はこう答える。

「お金を直接動かすようなサービスを国内で展開する場合は、金融庁などの厳格なガイドラインに沿って開発・運用する必要があり、乗り越えるべきハードルが高くなります。その分、ユーザーに利便性の高いサービスを提供するスピードが遅くなってしまいます。そのため情報提供に特化し、ユーザーの課題を解決することに集中する道を選択しました」

よりタイムリーに、高品質な情報を提供する

この考え方に沿って同社が磨きをかけているのが、「アカウントアグリゲーション」である。預金者が持つ複数の金融機関の口座情報を、1つのコンピュータースクリーンに集約して表示するサービスの総称のことだ。これはMFの中核技術であり、これをベースにユーザーごとの経済活動に関する情報を提供している。

前述の内容を表す図

提供:株式会社マネーフォワード
※Webスクレイピング:対象のウェブサイトの画面情報 (HTML) を取得し、そこから情報を抽出すること

「ユーザーが複数の口座を持っていると、各金融機関はユーザーの経済活動に関して断片的な情報しか持ちえず、その情報の範囲でしかサービスを提供できません。これではユーザーが持つお金の課題を抜本的に解決するのは難しい。一方、アカウントアグリゲーションであらゆる金融機関の情報を収集・集約し、提供できるようにすれば、ユーザーは自身の経済活動を手軽に把握できるようになり、そこから自身のお金に関する課題を可視化し、不安解消にもつなげられます。このコンセプトを具体化するコア技術にアカウントアグリゲーションを位置づけ、その洗練に努めてきました」

対応する金融機関、金融関連サービスの数はもちろん、各金融機関のシステム刷新への対応スピードやその品質についても、他の追随を許さないと浅野氏は胸を張る。

「アカウントアグリゲーションは当社の専売特許の技術ではありません。ただ、対応する金融機関、金融関連サービスの数と、アグリゲーション品質の両面で、他社のアカウントアグリゲーションが当社のそれと同等の域に達するには、かなりの努力と時間が必要でしょう。その意味で、アカウントアグリゲーションは、大きな差別化の源泉なんです」

コアのAPI化を足がかりにエコシステム形成へ

ビジネスの核となる「アカウントアグリゲーション」──。マネーフォワード社では、その機能やMF上のユーザーデータにアクセスするための「マネーフォワードAPI」の提供によって、他社サービスとつながり、金融サービスの新たなエコシステムを創出する取り組みも推進している。また、それと並行して「銀行のAPI化」の流れに乗り、銀行APIを中心としたエコシステムの拡大にも意欲的だ。

自社ソフトウエア/サービスのユーザーの裾野を広げるために、ウェブサービスで一般的に利用される「API」を活用するマネーフォワード社。後編では、同社がつくり出そうとしている新たなエコシステムの全容を追う。

前編を読む | 後編を読む

注釈:
(*1)マネーフォワード(外部サイト)
(*2)株式会社マネーフォワード(外部サイト)

プロフィール

株式会社マネーフォワード 取締役CTO 浅野 千尋氏

2008年 早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報ネットワーク専攻修了。 2006年 トレード・サイエンス株式会社を設立。数理研究開発部長を経て、チーフアルゴリズムアーキテクトに就任。金融市場分析プラットフォーム開発、アルゴリズム研究開発業務に注力。 2010年 金融市場分析部門を独立させ株式会社インテリジェント・シープを設立。機関投資家向け金融ITコンサルティング業務に注力。 2012年 株式会社マネーフォワードCTOに就任。

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