マーケティング戦略

ユーザーデータはいらない!?  C CHANNELが描く動画マーケティングの未来形[前編]

記事内容の要約

  • 2015年にスタートした「動画ファッションマガジン」C CHANNELは、スマートフォンに最適化した縦長の動画と1分程度のHow to動画が特徴
  • 「やってみたい」と視聴者の行動を促すファッションのノウハウ動画が人気
  • C CHANNELの動画広告も「視聴者の行動促進」を目的に制作し、広告主からも高評価
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近年大きく様変わりをしている動画プラットフォームだが、なかでもLINEの元社長である森川亮氏が2015年4月からスタートした動画ファッションマガジン「C CHANNEL」が注目されている。その最大の特徴は、ユーザーが「やってみたい」と、思わず行動するHow to動画だ。このHow to動画を使った動画広告に、多くの広告主が期待を寄せている。「データに頼らず、価値の高い動画広告」を実現しているというC CHANNELは、ほかのデジタル広告と何が違うのか。

大きく変化する動画メディア

今、動画メディアは大きく注目を集めている。誰もが投稿・配信できるYouTube(*1)やニコニコ動画(*2)にはじまり、近年では、映画館やテレビで上映・放映された映画やドラマ、バラエティーなどの番組も楽しめるようになった。

2009年開始の「GYAO!」(*3)、2011年に「Hulu」(*4)、2015年には「Netflix」(*5)などの動画コンテンツサービスが国内サービスを開始し、2016年4月にはサイバーエージェントとテレビ朝日が合弁で設立したインターネットテレビ局「AbemaTV」(*6)が本開局した。動画配信プラットフォームは、従来のテレビやネットメディアとはまた違う、新しいメディアとして期待されている。

また、動画視聴が一般化することで、企業のマーケティング活動においても動画広告が注目され、急激な市場拡大を続けている(下図参照)。動画プラットフォーム内でも動画広告をどう消費者に届けるか、試行錯誤が続いている状態だ。

■動画広告市場規模推計(デバイス別、2014年~2020年)
前述の内容を表すグラフ

出典:オンラインビデオ総研/デジタルインファクト (外部サイト)

そのなかでも、F1層といわれる20~34歳の女性で、かつ都市部在住で可処分所得の高い人をターゲットに「女子のための動画ファッションマガジン」というユニークな特徴を打ち出しているサービスがある。それが2015年4月にスタートした「C CHANNEL」(*7)だ。

C CHANNEL最大の魅力は行動を促すコンテンツ力

C CHANNELは、同社と契約した「クリッパー」と呼ばれるファッショニスタが、ヘアメークやファッションコーディネートのノウハウを動画で紹介する動画プラットフォームで、「動画ファッションマガジン」と銘打っている。

運営会社であるC Channel株式会社 代表取締役社長 森川亮氏は、今や世界規模のコミュニケーションツールとなったLINEを育てた人物であり、新しいテクノロジーやメディアについて造詣が深い。また、テレビ局からキャリアをスタートさせているという背景もあり、そこから生まれたのが、動画ファッションマガジンという新しいジャンルだ。

出典:爪の中に水?アクアネイル

編集長兼チーフプロデューサーとして動画制作の場を統括する山崎ひとみ氏によると、C CHANNELの特徴は、見ている人に「自分もやってみたい」と思わせるHow to動画にある。ちょっとのコツで目を大きく見せるノウハウや簡単ヘアアレンジ、ネイルアートなど、女子が憧れる「かわいらしさ」を実現するテクニックが、1分前後でテンポよく紹介されている。動画なので、文字や写真では伝えきれないコツや手際も理解しやすい。

出典:自分でできる“セルフギブソンタック” Clipper:ひよん

また、映像の見やすさもポイントだ。縦長のスマートフォンに最適化されているため、フルスクリーンで表示される。この見やすさと再生場所を選ばないモバイルならではのメリットにより、たとえば鏡の前で「今日はこのヘアアレンジをしてみよう」という行動促進につながりやすい。

このように、行動を喚起するコンテンツがそろっていることが、C CHANNELの大きな強みであり、広告主が期待する“媒体力”の源泉となっている。

雑誌の記事広告のように、需要を喚起する動画

そんなC CHANNELの広告商品もオリジナルのHow to動画だ。森川氏は、「動画広告といえば、動画バナーやテレビ広告の流用がほとんどですが、当社はHow to動画と相性の良い商品を使い、“この商品を使って、動画と同じことをやってみたい”とユーザーに喚起させるコンテンツをつくり込んでいます。ちょうど、雑誌の記事広告と同じようなイメージです」と説明する。

出典:見た目は本物!? 生ビールゼリー C CHANNEL レシピ

たとえば「ビールに合うメニューのレシピを動画で紹介し、ビールの商品訴求を行う」「母の日用カードのつくり方を紹介し、実際にカードを見てうれし泣きする母親の表情を見せる」というように、見た人が実際に「やってみたい」と思えるストーリーをつくっている。C CHANNELの広告の人気は高く、出稿が絶えない状態だという。

同社では、広告のパフォーマンスを上げるために、DMPを使って配信先オーディエンスを設定したり、反応を見たりすることはしていない。動画の再生回数は見ているが、データで何もかもを開示することが、広告価値に直結するとは限らないからだ。

むしろ、「コンテンツの質を高めてメディア自体の価値を上げることが、広告の質や価値の向上につながると考えています」と森川氏は話す。この「コンテンツの質を高める」という取り組みは、効果の高い動画広告を実現するノウハウにつながっているという。後編では、その3つのポイントを紹介する。

前編を読む | 後編を読む

注釈:
(*1)YouTube(外部サイト)
(*2)ニコニコ動画(外部サイト)
(*3)GYAO!(外部サイト)
(*4)Hulu(外部サイト)
(*5)Netflix(外部サイト)
(*6)AbemaTV(外部サイト)
(*7)C CHANNEL(外部サイト)

プロフィール

C Channel株式会社 代表取締役社長 森川 亮氏

1989年筑波大卒。日本テレビ、ソニーを経て2003年ハンゲームジャパン(現LINE株式会社)入社、2007年社長。2015年3月、同社代表取締役社長を退任し、アドバイザーとして顧問に就任。2015年4月にC Channel株式会社を立ち上げ、代表取締役社長を務める。

C Channel株式会社 編集長兼チーフプロデューサー 山崎 ひとみ氏

2007年サイバーエージェント入社。「アメーバピグ」チーフプロデューサーを経たのち、アメーバ事業本部スマートフォンDivisionの立ち上げに参画。2014年、女性向けキュレーションメディアby.S編集長に就任し、2015年12月よりC Channel株式会社に参画。現在は編集長兼チーフプロデューサーを務める。

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