注目のトレンド

【解説】イマーシブコンテンツ

  • はてなブックマーク
  • follow us in feedly

イマーシブコンテンツの「イマーシブ(immersive)」とは「没入型(どっぷりつかった、実体験のように感じる状態)」を意味する単語だ。つまり、イマーシブコンテンツとは「オーディエンスが没入できるコンテンツ」を指しており、これまでは主として動画やインフォグラフィックが「オーディエンスの没入」を促進するものとして用いられてきた。

たとえば、The New York Times(オンライン版)の「Snow Fall」(*1)はインフォグラフィックの手法を駆使した、イマーシブコンテンツの代表的な例だ。また最近では、日経新聞電子版の「Visual Data」(*2)など、ウェブメディアでもインフォグラフィックを活用したサイトが立ち上げられている。さらに現在では、VR(Virtual Reality: バーチャルリアリティ)技術を駆使し、「オーディエンスがあたかもそのコンテンツのなかに入ったかのような体験」を提供するイマーシブコンテンツも増えはじめている。

前述のThe New York Timesのイマーシブコンテンツ例

イマーシブコンテンツの不可欠な要素として挙げられるのは「独自の世界観にオーディエンスを引き込んでいく高度なストーリー性」だ。また、そうした世界観・ストーリー性があるからこそ、オーディエンスはそのイマーシブコンテンツに「没入」し、通常のコンテンツよりはるかに長い時間滞留し、よりストーリーに引き込まれていくといえる。したがって、独自の世界観や高度なストーリー性のなかで、自社のブランドや商品をうまく訴求することができれば、マーケティング的に大きな効果が期待できる。

常識化する“イマーシブ”の取り組み

現在、イマーシブコンテンツの制作手法として、「パララックス(Parallax Scrolling)」と呼ばれる手法にも注目が集まっている。これは、ユーザーのスクロールに応じてウェブページの表示内容を動的に変化させていく手法だ。この手法はすでに日本でもさまざまなサイトで活用されている。

一方、スマートフォン/タブレットに向けたAR(Augmented Reality:拡張現実)アプリケーションをマーケティング用のイマーシブコンテンツとして使うケースも一般化しつつある。たとえば、実世界の紙媒体の広告にスマートフォンをかざすと、その上にデジタルのさまざまな効果・演出が付与されるといったものだ。


VRゴーグルを付けているイメージ(photo:Thinkstock / Getty Images)

さらに、VRの領域では、「VRゴーグル」と呼ばれるメガネ型360度全方位ディスプレイを利用した没入型コンテンツが続々と発表されている。VRゴーグルはすでに、ハコスコ(*3)やGoogle Cardboard(*4)といった段ボールとスマートフォンを利用した簡易なシステムから、VRヘッドセットの「オキュラスリフト(Oculus Rift)」(*5)や「HTC Vive」(*6)など、よりリアルな体験が可能なシステムまで実に広範囲の製品が市場に投入されている。

Oculus Riftなどに対応したVRシューティングゲーム『EVE: Valkyrie』

出典:EVE: Valkyrie - Pre-Alpha Game Capture - December 2015

企業は、それらの製品で視聴可能なVRコンテンツを提供することで、顧客に新しい体験を提供し、自社の製品・ブランドを効果的にアピールすることが可能だ。

こうしたVRコンテンツの可能性から、米国では大手企業がVRコンテンツの制作会社を買収するケースも見られはじめている。たとえば、米国のインターネットサービス大手で2015年にベライゾンに買収されたAOLは、VRコンテンツの制作会社Ryot(ライオット)社を買収した(*7)。また、自動車メーカーのMINI USA(*8)やソニーグループのCrackle(*9)をはじめとするいくつかの企業はすでにVRコンテンツ広告の展開に乗り出している。

VRやAR自体は決して目新しい技術ではない。だがテクノロジーの進歩と、パーソナルデバイスの高性能化が、VR・ARの大衆化を加速させ、マーケティングでの活用を可能にした。また、パララックスの手法も、同じく技術の進化とパーソナルデバイスの高性能化によって、マーケティングでの実用に耐えうるレベルに達している。そうしたなかで、ますます活発化する企業のイマーシブコンテンツ制作。コンテンツは没入型であることが、当たり前の時代に突入しているようだ。

  • はてなブックマーク
  • follow us in feedly

Insight for Dの
ページにいいねしよう!

「いいね!」してInsight for Dの最新情報をチェック

Yahoo! JAPANのデータソリューションについて

Yahoo! JAPANのデータソリューションについて

Insight for Dの公式Facebookページ、Twitterでも最新情報や取材の様子を発信中。