マーケティング戦略

みずほ銀行のデータ活用戦略[後編]──システム改修で60倍のパフォーマンスアップを実現!

記事内容の要約

  • データ活用の進展につれ、分析プログラムの自作やシステムの性能がボトルネックとなった
  • データ分析の性能アップと全社的なシステム利用に向け、2014年に基盤を刷新
  • 約60倍に飛躍したパフォーマンスを背景に外部データの活用など、マーケティングをさらに強力に展開
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1990年代後半からデータベースマーケティングを推進してきたみずほ銀行では、システム基盤の重要性を認識していた。しかし2009年に導入したシステムは、データ分析のためにマーケティング部門の担当者自身がプログラミングを行う必要があるなど、利便性に課題があった。それを解決するため、2014年12月にシステムを刷新。結果として驚異的に向上したそのパフォーマンスは、確実に成果を上げている。

マーケティング施策を支えるITの課題

みずほ銀行では、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行統合による2002年の発足以前から行内に蓄積されたデータをマーケティングに活用してきた歴史がある。近年は、実店舗などのリアルなチャネルのほかにインターネットバンキングなどオンラインからも顧客データを取得・分析し、データベースマーケティングに力を注いでいる。

みずほ銀行のデータベースマーケティングには、いわゆる「MCIF(Marketing Customer Information File)」と呼ばれる顧客情報ファイルをはじめ、「顧客に対してどのような案内をしたか」、「どんな資金移動があったか」といった情報などの膨大なデータが用いられている。

「これらのデータを駆使して、お客さまの金融行動や資金繰りなどの情報を分析・モデル化し、One to Oneマーケティングの施策に活用しています。たとえば、何らかのライフイベントが発生しそうなお客さまに適切な商品をご案内したり、日中の混雑している時間帯にATMを利用することが多いお客さまには、ATM時間外手数料が無料となる特典のある『みずほマイレージクラブ』への入会をおすすめしたりしています」

こう語るのは、ビジネス開発推進部 データベースマーケティングチーム 参事役の吉澤陽子氏だ。

このような施策は、2009年にデータ分析用システムを導入したことで本格化した。ただ、そのシステムには、主に2つの課題があった。1つはマーケティング部門の担当者自身が分析用のプログラムを作成しなければならないという点、もう1つは、複雑なデータ分析を実施するのに時間がかかるという点である。

システム基盤刷新により処理時間が60分の1に

これら2つの課題を解決すべく、みずほ銀行ではデータ分析のシステムを全面的に見直すことにした。そこで導入されたのが、2014年12月より稼働しているデータ・ウェアハウスシステム(以下、DWHシステム)である。

IT・システム統括第一部 戦略情報基盤システム推進チーム 調査役の家村育民氏はこう話す。

「データベースマーケティングでは、分析の切り口が場面に応じて変化します。そうした処理を高速化するには、データベースにインデックスを張らずとも、集計などの分析用の処理が高速に行えるシステムが必要とされました。その実現のために、求められる要件を満たすDWHシステムへと分析の基盤を切り替え、かつ、分析プログラムやデータを利用頻度に応じて整理して新システムに移行させたのです」

システム刷新のロードマップ
みずほ銀行では、2013年から3段階でシステムの刷新を進めている。

提供:みずほ銀行

実は、このシステム刷新は、データ分析のシステムを全社的に展開するための方策でもあった。そのため、何よりも求められていたのは性能アップだったのだ。結果として、この施策は無事奏功。新たなシステムは要件を十分に満たし、データ分析のパフォーマンスを大幅に向上させたという。

「データ分析の処理速度については、ユーザー実感として、従来1時間かかっていたものが1分で終了するなど、非常に大きな効果が得られています」(家村氏)

このような強力なシステムが、みずほ銀行のマーケティング施策を支えているのだ。

さらなるシステム強化で分析データの幅を広げる

みずほ銀行では、DWHシステムのさらなる強化も進めている。その1つが、分散ファイルシステム「Hadoop」の採用だ。これは、アクセス頻度が低いデータをHadoopに配置して大量データの保管コストを下げ、かつ、必要なときに高速に呼び出せるようにするための施策だ。

DWHシステムの強化
データ管理のためにHadoopを採用している。

提供:みずほ銀行

また、こうしたシステム面の拡張とあわせて、データベースマーケティングで利用するデータやテクノロジーの幅も押し広げられようとしている。

「現在、マーケティングに活用されているデータは行内データに限定されていますが、今後は、ソーシャルメディア上のデータなど、外部のデータを取り込み、データベースマーケティングに活用していきたいと考えています。さらに、人工知能をマーケティング施策に応用することも視野に入れています」(吉澤氏)

マーケティングのために顧客データと新たなテクノロジーを徹底的に使い尽くす──みずほ銀行のデータ活用の取り組みは、これからも進化を続ける。

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プロフィール

株式会社みずほ銀行 ビジネス開発推進部 データベースマーケティングチーム 参事役 吉澤 陽子氏

1992年富士銀行入社。1999年持株会社みずほホールディングスへ出向し、個人ビジネスを支える分析基盤の企画・構築プロジェクトをけん引。2002年みずほ銀行発足と同時に個人戦略企画・セグメント戦略再構築に従事。2006年以降はCRM戦略の企画推進、邦銀初のEBM本格導入・推進、最近では銀行データ×外部ビッグデータによる顧客インサイトに基づいたみずほプライベートDMPの企画構築をけん引している。

株式会社みずほ銀行 IT・システム統括第一部 戦略情報基盤システム推進チーム 調査役 家村 育民氏

2005年九州大学大学院卒業後、IT戦略会社を経て2009年株式会社みずほ銀行入社。以来、みずほグループのIT戦略立案に従事。最近では、オムニチャネル戦略を支えるビッグデータ分析基盤の企画推進や、人工知能(AI)等のテクノロジーを駆使したデータ利活用促進のための施策立案に携わっている。

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