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【解説】IoE(Internet of Everything)

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IoE(Internet of Everything)とは、モノだけではなく、ヒト、データ、プロセスなどの文字通り「すべてのモノとコトがインターネットで結びつくことで可能となる、ビジネス全般」を意味する。2012年にコンピューターネットワーク機器開発会社・シスコシステムズ(Cisco Systems)が、IoTの拡張概念として提唱した。

Internet of Everything
前述の内容を表した図

IoE提唱の背景には、2つの技術革新がある。1つ目は、IPがIPv4からIPv6に移行したことにより、IPアドレスがほぼ無尽蔵に割り振れるようになったこと。2つ目は、半導体チップをはじめとするITのパーツが高性能かつ小型化し、加えて安価に入手できるようになったことだ。

IoTという概念が普及している現在でも、99%以上のモノがいまだにインターネットにつながっていない(*1)といわれている。総務省はこうした99%以上のモノにビジネスチャンスをもたらすIoEの市場規模は、2020年に1.7兆ドルになると推測している(*2)。

IoEとIoTの違い

IoTとIoEの違いは、ビジネスモデルが提供するソリューションの規模にある。IoTはモノからのセンサー情報を活用して問題を解決するのに対して、IoEではモノに加えて「ヒト」「データ」「プロセス」に関する情報も利用して、より大規模かつ包括的な問題にソリューションを提供する。

たとえば、病院で入院患者をモニタリングするシーンについて考えてみよう。IoTでは血圧計や体温計から得られたバイタルデータ(血圧、脈拍、体温など生体情報を示すデータ)をカルテのデータベースと同期させることにとどまる。対してIoEでは、バイタルデータに加えて患者の食事データや既往症などもその範囲となり、まとめて主治医に知らせることで、より適切な治療方針を打ち出せる。さらに、個人を特定できる情報は削除したうえで、患者の総合的な健康データを製薬会社が共有すれば、新薬開発のための基礎データにもなる。このように、IoEはIoTでは見えなかったつながりを見いだし、新しいエコシステムを創出するのだ。

IoEの事例1:ハンブルグで実現する「コネクテッド ポート」

出典:CiscoJapan「ハンブルグにおけるコネクテッド ポート」

ドイツ・ハンブルグでは、道路にセンサーを設置することによって、管制センターが道路交通量をリアルタイムに把握できるようになった。管制センターでは船舶の運航状況も共有されており、船舶が可動橋を通過する時は、自動車が可動橋を迂回(うかい)するように誘導することも可能だ。

また、再開発地区であるハーフェンシティでは、駐車場の空き状況がスマートフォンで共有されており、住民はどこに駐車できるか瞬時に知ることができる。

IoEの事例2:すでに多数のIoEソリューションを実装しているバルセロナ

スペイン・バルセロナは、IoEの代表的な事例で、「スマート+コネクテッド コミュニティー」が構築されている。

たとえばスマートメーター(電力量の計測と通信が可能な計器)を利用した水道管理や、ゴミ箱内の容量を検知するセンサーを活用した廃棄物回収(*3)など、多数のIoEソリューションを実装して市の経費削減と市民サービス向上に貢献している。

IoE普及の課題

IoEが普及するためには、乗り越えるべき2つの課題が挙げられる。

1つ目は、産業横断的なソリューションの構築だ。「ヒト」「モノ」「データ」「プロセス」を結びつけて新たなエコシステムを創出するIoEビジネスは、従来は関係が薄かった業界・産業を1つにまとめる。異業種間の関係構築においては、既存の法律が障害となる場合もある。場合によっては、政府のリーダーシップが不可欠となることもあるだろう。

2つ目は、セキュリティーとプライバシーと問題だ。情報を質・量ともにIoT以上に共有するIoEビジネスにおいては、今まで以上に情報のセキュリティーとプライバシーの確保が迫られる。

このような課題に対処するために、ユーザーとデータサーバー(クラウド)のあいだにフォグ(霧)層を設けて、拡張し続けるインターネットのセキュリティー問題に柔軟かつ迅速に対応する「フォグコンピューティング」というしくみがシスコシステムズによって提案されている(*4)。

解決すべき課題はあるものの、IoEの普及によって訪れる未来は、より快適かつクリエーティブなものであろう。

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