マーケティング戦略

顧客と直接つながれ![後編]──三井住友海上火災保険のLINE活用術

記事内容の要約

  • ウェブの顧客サービスとLINEを連携、顧客目線のサービスへ
  • デジタルマーケティングの方針は「適切な情報を、適切なチャネルで」
  • デジタルチャネルから得られた情報を代理店にフィードバックする予定
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顧客とのコミュニケーションの手段として「LINE」の活用をはじめた三井住友海上火災保険株式会社。主に顧客満足度の向上を目的とした取り組みだが、目的はそれだけではない。新しい顧客ニーズの掘り起こしや、代理店に対する顧客情報のフィードバックが同社のねらいだ。

まずは顧客満足度の向上

LINEを活用した同社のサービスは2016年7月29日にスタートした。これはLINE活用の第一歩ともいえる取り組みであり、主眼は顧客満足度の向上に置かれている。

そのため、現状(2016年8月時点)での同社のLINEサービスは、同社が運営する顧客向けウェブサービス「お客さまWebサービス」(*1)と連携したしくみとして設計されている。

「お客さまWebサービス」との連携を通じて情報提供を行う
「お客さまWebサービス」との連携を通じて情報提供を行う

これは、保険契約者が自身の契約内容を確認したり、事故・災害に見舞われた際に連絡できたりするものだ。これらのサービスはLINEのトーク画面上に用意されたボタンをタップするだけで、「お客さまWebサービス」のなかの関連URLが表示されるしくみになっている。同社によれば、LINEからの事故連絡や代理店照会などを可能にするサービスの提供は保険業界で初の取り組み(*2)だという。

「通常、事故や災害に見舞われた場合、保険契約に関する情報が手元にないとなかなか問い合わせができません。しかし、登録情報と個人のアプリがひもづくことで、保険契約の情報が手元になくても契約内容確認や事故連絡がすぐに行えるのです」と、LINEの導入を主導した近藤大輔氏(営業企画部 営業IT推進室 メディア企画ユニット)はいう。

「適切な情報を、適切なチャネルで」が基本

三井住友海上火災保険では2012年8月にスマートフォン向けのアプリ「スマ保」をリリース(*3)し、契約内容の確認や緊急時のナビゲート、事故サポートなどのサービスを提供してきた。そして、今回のLINEを活用した新サービスは、このアプリとともにデジタルマーケティング施策の切り札として位置づけられている。

「2016年11月をめどにデジタルマーケティングを本格的に推進していくことを計画しています。基本的な方針は、お客さまの多様なニーズにお応えし、それぞれのニーズに合致した情報を適切なチャネルで提供していくことです」(近藤氏)


三井住友海上火災保険株式会社 営業企画部 営業IT推進室 メディア企画ユニット 課長代理 近藤大輔氏

たとえば、LINEを活用したサービスは「お客さまWebサービス」と連動しているため、契約者の年齢や住所などの属性がわかる。属性をもとにセグメントされた情報を、トーク画面やメールを通じて発信していく予定だ。

なお、同社がコンサルティング会社に依頼して実施した顧客向けのアンケートによると、保険契約者は「保険に関係のない情報」が保険会社から発信されることを好まないという。その結果を踏まえ、メールなどを通じた、プッシュでの情報提供の際には、「事故・災害の発生リスク」や「有事への備え」、「事故災害発生時の保険金請求に関する案内」といった顧客が求める情報を中心に、頻度を慎重に検討しながら発信していくという。

獲得した情報は代理店にフィードバック

また、同社は、今後デジタルマーケティングを通じて取得した情報を他方面にも生かしていく方針だ。

「LINEと『お客さまWebサービス』を通じて入手した顧客の要望を取扱代理店にフィードバックし、代理店販売型の枠組みを変えることなく、サービス品質をさらに高めることも狙っていきたいと考えています」(近藤氏)

このような三井住友海上火災保険の取り組みは、代理店型保険業界に限らず、顧客と直接つながりにくいBtoBtoCモデルを展開する企業のマーケティングを変える可能性を秘めている。

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注釈:
(*1)お客さまWebサービス(外部サイト)
(*2)「LINE」を活用した新サービスの提供開始について(外部サイト)
(*3)スマートフォンご利用者向け新サービス「スマ保」について(外部サイト)

プロフィール

三井住友海上火災保険株式会社 営業企画部 営業IT推進室 課長 メディア企画ユニット長 加藤 大輔氏

1994年三井海上火災保険株式会社入社(現:三井住友海上火災保険株式会社)。事務企画部門に配属、新規事業の立ち上げに参画後、インターネットを利用したサービスや保険販売の企画・開発業務に携わる。

三井住友海上火災保険株式会社 営業企画部 営業IT推進室 メディア企画ユニット 課長代理 近藤 大輔氏

2004年三井ダイレクト損害保険株式会社入社。主に営業部門、広告部門に従事し、2016年に三井住友海上火災保険株式会社に出向。主にデジタルマーケティング推進施策に携わっている。

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