ビジネス創出

訪日外国人のデータは宝の山[前編]――データで消費実態を読み解くナイトレイ

記事内容の要約

  • 2016年1~8月の間の訪日外国人数は1,600万人。2020年に向けてさらなる増加が予想される
  • 顧客の要望を受け、訪日外国人の動態分析サービス「inbound insight」を開発
  • 客観的なデータを根拠にしたインバウンド戦略を顧客に提案
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年々増加する訪日外国人──。そのなかで、にわかに注目を集めているビッグデータ解析サービスがある。株式会社ナイトレイが提供している「inbound insight(インバウンドインサイト)」だ。訪日外国人の行動分析に特化したこのサービスは、日本のインバウンド市場にどんな影響を与えるのだろうか。その疑問を解き明かすべく、まずはinbound insightのサービスの輪郭と誕生の経緯から探ってみたい。

8カ月で1,600万人を突破。拡大するインバウンド市場

訪日中国人が大量の日本製品を購入して自国へ戻る、“爆買い”という行為が流行語にもなったが、日本はいま、年を追うごとに訪日外国人の数が増加している。日本政府観光局(JNTO)の推計によれば、2015年に約1,900万人だった訪日外国人の数は、2016年1月から8月の8カ月間だけで1,600万人を突破している。そのため、政府は2020年の目標を2,000万人から4,000万人へと引き上げている。

訪日外国人数の推移
2012年から2015年にかけての訪日外国人数の推移と2016年の予想

出典:日本政府観光局(JNTO)「統計データ(訪日外国人・出国日本人)」(*1)

訪日外国人の増加に伴ってビジネスチャンスも増えるなか、株式会社ナイトレイ(*2)の「inbound insight」(*3)に注目が集まっている。同サービスの内容を簡単にいえば、日本国内での訪日外国人の行動や移動経路を、SNSの情報をもとに解析し、訪日外国人をターゲットにした企業・組織のマーケティング戦略(以下、「インバウンド戦略」と呼ぶ)を支援するというものだ。

対象のSNSは、オープンなSNSであり、規約上も投稿データへのアクセスが可能なTwitterと微博(Weibo)(*4)の2つ。現在、1カ月間で約200万人の訪日外国人がいるなかで、SNS解析により約2万2000人の動向を解析可能にしている。具体的には、緯度経度や訪問施設といった位置情報、国籍・性別・移動経路・クチコミ・投稿写真などを独自解析してデータベース化しており、ASP型の分析ツールとして解析結果のデータを提供している。

サービス着想のきっかけは生活者が発信する位置情報の増加

inbound insightの開発・提供元であるナイトレイは、2011年創業のスタートアップ企業だ。創業者は代表取締役の石川豊氏で、会社員時代に「インターネット」と「データ」、そして「位置情報」の3つを軸にしたサービスを着想し、調達した500万円の資金を元手にナイトレイを立ち上げた。

「独立・起業を考えはじめたときから、インターネットとデータを使ったサービスを立ち上げたいと考えていました。ただ、正直にいえば、位置情報をサービスの軸に据える発想はなかったんです」と、石川氏は明かす。

そのなかで、同氏が今日のinbound insightにつながるサービスを立案したのは、生活者の情報発信のスタイルが変化していることに気づいたからである。

「当時、インターネットに目を向けると、生活者が自分の行動に関わる情報を逐一スマートフォンで発信しはじめていました。つまり、ロケーションに関わるデータがネット上にあふれはじめていたわけです。これを収集してしっかりと解析できれば、企業のマーケティングに有益な情報提供や、世界中の人々の生活をより豊かにするサービスの開発ができると考えました」

もっとも、この考えが即座にinbound insightの開発に結びついたわけではない。inbound insightのサービス開始は2015年のこと。それ以前は訪日外国人ではなく、日本人のSNS(Twitter)投稿を解析の対象にしていたという。

「創業から最初の約1年はデータ収集エンジンの開発に終始し、その後、Twitter上にある日本人の投稿内容とその位置情報の解析データを企業に販売していました。われわれのコア・コンピタンスは、SNS投稿から位置情報を割り出す独自の技術です。それがinbound insightの基礎を成しています」と、石川氏は話す。

客観的なデータを起点としたインバウンド戦略へ

訪日外国人旅行客の増大に伴い、日本での外国人の動向を解析してほしいという要望が顧客から寄せられはじめたのが今のサービスをはじめるきっかけとなった。

「周囲を見渡すと、たしかに訪日外国人の動きを細かに分析しているデータはなく、日本の企業・自治体によるインバウンド戦略も“勘”と“経験”を頼りに策定・遂行されているケースが少なくありませんでした。勘や経験に依存する体質から脱却し、客観的なデータを根拠にしたインバウンド戦略へ進化させることに大きなビジネスチャンスを感じたわけです。それがinbound insightの開発・提供に乗り出した理由です」(石川氏)

またナイトレイでは、inbound insightのマーケティングの一環として、訪日外国人向けの日本情報サイト「ZouZou」(*5)も運営している。ビジネス上のZouZouの役割は、SNSでは得られないような訪日外国人の情報を収集し、inbound insightから得られる洞察をより洗練化させることにある。

では実際に、inbound insightは顧客のインバウンド戦略にどのような価値や変化もたらしているのか──。後編では、実際のビジネスにおけるインパクトや活用例を掘り下げてみよう。

この記事の後編を読む

注釈:
(*1)日本政府観光局(JNTO)「統計データ(訪日外国人・出国日本人)」(外部サイト)
(*2)株式会社ナイトレイ(外部サイト)
(*3)inbound insight(外部サイト)
(*4)微博(Weibo)(外部サイト)
(*5)ZouZou(外部サイト)

プロフィール

株式会社ナイトレイ 代表取締役 石川 豊氏

2005年ネットエイジ(現ユナイテッド)入社。新規事業やネット広告事業で日々データ活用による業務推進を行う。 2011年ナイトレイを創業し、ロケーションインテリジェンス事業を立ち上げ。 位置情報に特化したSNSデータ収集と解析システムを独自開発し、日本国内の消費者行動データや人気施設データを提供開始。 2015年、訪日外国人の行動解析サービス「inbound insight」をリリースし、インバウンド対策の戦略策定・実行・検証プロセスに必須となるエビデンスデータを提供することで約3,900社の企業や自治体のインバウンド戦略をサポート中。

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