ビジネス創出

売上増を実現する新たなPOS活用[後編]―― 顧客ニーズをデータで読み解く

記事内容の要約

  • バスケット分析で同時購買の傾向が明らかに
  • データ分析により食材を組み合わせたメニューの提案も可能に
  • コミュニケーションアプリを活用したレコメンドで集客率の向上を実現
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この記事の前編を読む

毎日、全国500万人分の買い物レシートデータを収集・可視化し、「どのような層の人が」「いつ」「何を購入したか」を把握できるようにするのがアイディーズの「i-code」だ。だが、それだけではスーパーマーケットの経営課題である「顧客ニーズに合った商品を提供し、廃棄ロスを減らすこと」にはつながらない。改善実現に向けてアイディーズが取ったのはどのような策だったのか。

データだけあっても意味がない

アイディーズが提供する「i-code」は、これまでのPOSデータではカバーできなかった生鮮食品や総菜商品の「誰がいつ、どこで購入したか」という情報を取得できる画期的なしくみだ。毎日全国から集まる500万人分のレシートデータをもとに、必要なデータを可視化して「いま、この地域でどんな人に何が売れているのか」を明らかにする。

だが当然ながら、データ自体は数字の羅列でしかない。それを“活用”するにはノウハウやツールが必要だ。

そこでアイディーズでは、スーパーマーケット向けにi-codeの分析ツールを提供することにした。それは、顧客視点での売り場づくりを提案して実績をあげていた女性マーチャンダイザー(MD)が、コンサルティングで使用していた「Power ID」というツールだ。

データが示唆する食材の売り方

Power IDは、一言でいえばi-codeをもとに「バスケット分析」を行うツールだ。バスケット分析とは、「1つの買い物カゴで何と何を購入したか」を分析する方法で、これにより「A商品とB商品はセットで購入されやすい」といった傾向が把握できる。

たとえば、あるスーパーマーケットでは、平日、株単位で販売するブロッコリーの売れ行きが悪かった。そこでブロッコリーを1株そのままでなく、小分けにし、利用するのに手間のかからないカット野菜として提供したところ、平日に仕事帰りの人が購入するようになったという。

さらにバスケット分析を行うと、「ブロッコリーとエビは一緒に購入されやすい」という傾向が見えた。

「平日に働いている人向けに、カットブロッコリーとエビを組み合わせた料理をスーパーマーケット側で提案できる。来店する人も、食べやすく買いやすい食材ですぐ料理をつくれるので購入しやすい。結果として、廃棄ロスが減り、売り上げがあがるのです」(山川氏)

バスケット分析そのものは目新しいことではない。Power IDのポイントは、関東の250店舗、250万人の顧客のバスケット分析がものの10秒程度で終えられることだ。

従来の方法では、大量のデータ分析には数週間から数カ月もの時間がかかったため、結果がわかったころには売りどきを逃してしまい、データ分析をした意味がなくなることもあった。しかしPower IDを活用すると、必要な分析結果を即時に、しかも多面的に得られる。スーパーマーケット経営者のデータ活用の機運はがぜん高まったと、山川氏は話す。

チラシから脱却する小売業界

このようなデータ活用のしくみを提供してきたなかで、山川氏は「小売業全体が、デジタル活用に関心を持ちはじめた」と感じているという。その一例がチラシに頼った集客からの脱却だ。

中堅スーパーの場合、年間2億円をかけてチラシを制作・配布し、顧客の呼び込みを行っているケースも珍しくない。ところが今は、新聞購読率が減り、そもそもチラシを手に取る機会が少なくなっている。

これを救う手立てとして注目されているのが、いわゆるコミュニケーションアプリの活用だ。アイディーズでは、今年から北海道のスーパーと共同で実証実験を進めている。具体的には、LINE IDとスーパーのIDを統合したうえで、各顧客の実店舗やネットスーパーでの購入履歴や商品を分析。そしてLINEを通じ、適切なタイミングで個々人のニーズに合う商品をレコメンドするという施策なのだが、現状、紙のチラシと比べて10倍ほどのレスポンスが得られている。適切なデジタル施策を展開し、顧客の購買行動に沿って集客や品ぞろえを変えるだけで、スーパーマーケットの売上は確実に向上することがわかったのだ。


株式会社アイディーズ 代表取締役社長 山川朝賢氏

小売業のデータ活用はどこへ向かうのか

山川氏は「デジタルとデータを活用することで、無駄な販促費や廃棄ロスが減ります。そしてそこで得た収益をお客様に還元することで、ますます正の循環が生まれます」と語る。

とはいえ、まだスーパーマーケットのデータ活用は「はじまったばかり」という状態だ。今後はメーカーからも協力を得て、メーカー・小売でデータ活用のタッグを組んで収益向上につなげていく施策も考案しているという。

さらに山川氏は、スーパーマーケットのトランザクションデータを分析することで、食の傾向を把握し、「健康な食」を提案することも構想している。まずは、スーパーマーケット従業員向け健康管理のソリューションとして、自社で保有しているデータを活用していくそうだ。

経営課題の解決から従業員の健康管理まで、小売業のデータ活用は今後ますます発展してく可能性を秘めている。

プロフィール

株式会社アイディーズ 代表取締役社長 山川 朝賢氏

昭和32年沖縄県那覇市生まれ POSデータ活用に特化した事業に一貫して取組み、「店頭を科学する」のコンセプトのもとに付加価値の高いサービスを行い、2008年「ハイ・サービス日本300選」に選ばれる。全国のPOSデータを取扱うなかで、標準化されていなかった生鮮三品のコードの統一化を図る。データそのものの価値を高め活用の幅を広げる政策に取組み、他業界からも注目を集める。

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