マーケティング戦略

「体験時代」におけるシームレスなマーケティングとは?

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購買における魅力は、商品力だけではなくなってきています。今日の消費者は「体験」を常に意識しています。購買における意思決定は、複数のデバイスやプラットフォーム上にまたがっているだけでなく、消費者サイドでの高い期待値による部分が大きいのです。

そして「(購買行動において)継ぎ目のない」ことは、消費者のニーズの中でなによりも重要です。アクセンチュア社によると、49%の消費者は、「店舗に望む最大の改善策は、実店舗、ECサイト、そしてアプリ上での購買体験を統合することである」と回答しています。さらに、89%の消費者は、「どの購買チャネルであろうと、最も便利な形で購買ができることが一番重要である」と答えています(*1) 。

継ぎ目のない消費体験とは、顧客データをそれぞれの消費行動と統合することで、複数のデバイスでオンライン・オフラインの間を行き来する消費者の動きを、途切れることなくつなげたものです。つまり、すべての顧客接点において消費者を中心に据えることで、消費者との関わりを維持し、購買プロセスにおける問題をなくしていくのです。非常に難しいですが、その第一歩は、実生活における消費者のシナリオを考えることです。これは今後変わることなく大切な考え方だといえます。

たとえば、このようなケースを想像してみてください。朝、コーヒーを注文する列に並んだ女性が、スマートフォンでオンライン靴店のサイトを見ています。女性はその後ランチタイムにタブレットを取り出し、また靴を閲覧します。ここでオンラインの靴店は、利用するデバイスが変わったにもかかわらず、同じ女性が商品を閲覧したことがわかっているとします。すると、女性はデスクに戻ってパソコンからその靴を注文し、同日の夜に実店舗で受け取るということが可能になるのです。

このシナリオは、チャネルを超えた消費体験の分かりやすい例の一つで、多くの企業が目指しているものです。そして実際に、消費者は自らのデータを提供することで、このようなシームレスな消費経験ができることを期待しているのです。以下に続く5つのポイントは、シームレスな消費体験を実現するうえで、商品自体よりも重要なものです。

(1)通知すること

事業は、本質論を抜きにして存続することはありません。そして成功させるためには、統合された視点から消費者を把握する、もしくは、包括的に消費者をプロファイル化することで、デバイスやチャネルを超えた彼らの行動やニーズ、興味関心を理解することが重要なのです。Experian社によると、97%の組織が消費者を完全に把握しようと試みているようですが、81%のマーケターはこの目標に悪戦苦闘しています(*2) 。最も重要なことは、企業が消費者に対してきちんとデータを取得することを通知し、入手したデータを、消費者を理解するための重要なリソースとして活用することです。

(2)つながること

チャネルをまたいで消費者を認識し、一貫性を確立するためには、企業として分断された消費者のデータを、オンライン・オフライン問わず収集して結合していくことが必要です。

本当の継ぎ目のない消費体験を実現するには、それぞれの消費者との接点においてファーストパーティーデータを活用し、消費者が何度デバイスを変えようと問題ないように準備しておかなければなりません。

(3)迅速であること

消費者がいかに頻繁にデバイスを使い分けているかについては、もはや周知の事実です。Criteo社によると、40%ものEコマースのコンバージョンが複数のデバイスによって行われていることが確認されています(*3) 。このことは、マーケターが、つぎつぎとプラットフォームを渡り歩く消費者に迅速に対応しなければならないという事を意味しています。マーケティング施策と消費者のオンラインでの購買経験をつなぎ合わせるためには、企業は保有するファーストパーティーデータをそれぞれのタッチポイントと接続し、消費者を認識可能にする必要があります。それにより、消費者がパソコンからタブレットへ切り替えたり、オンラインから実店舗内での購買に変更したりといった瞬間に、すばやく消費体験をパーソナライズしていかなくてはならないからです。

(4)パーソナライズされていること

本当に調和のとれた消費体験は、過去の購買履歴やコールセンターでのやりとりなど、すべての段階において、消費者それぞれの好みをもとにしてパーソナライズされているものです。実際のところeMarketerの調査によると、81%の消費者がオンラインショッピングに望むこととして「簡単で、消費者の好みに合わせて適切にカスタマイズされていること」と答えています(*4) 。

パーソナライズの例として、スマートフォンから航空券のチケットを購買した男性を想定してみましょう。彼が次にタブレット端末で航空会社のウェブサイトにログインすると、そのサイトは、彼の好きなレンタカーのブランドの割引キャンペーンや過去の旅行履歴や関心をもとにしたおすすめの旅行プランなどによって、ただちにパーソナライズされるのです。

さらに言えばシームレスな顧客体験は、単なるパーソナライズのレベルを超えます。例えば、航空券を買った男性が空港に着いて、フライトがキャンセルされたと気づいた場合、わざわざ列に並んで航空会社のスタッフと話すのではなく、スマートフォンからアプリにログインすることで、企業側は即時に状況を把握し、代わりとなるフライトを準備することも可能なのです。

(5)デバイスごとに最適化されていること

最後に、本当に継続的でデバイスやチャネルに合った購買体験を提供しようとするのであれば、それぞれのデバイスごとに最適化された見せ方がとても重要です。アドビシステムズ社によると、39%の消費者が「画像表示に時間がかかりすぎるウェブサイトは、利用しなくなる」と答えています(*5) 。デバイスやチャネル問わず、消費者はスムーズでストレスのない閲覧を望むものなのです。

一貫性があり、多デバイス・多チャネル戦略に対応した事業こそが「体験時代」での勝者となります。Aspect社の調査によると、そういった対応をしている企業は、対応できていない企業よりも91%以上高い顧客の継続率を記録しています(*6) 。そして前述の5つのポイントを考慮すれば、顧客を把握し、つながり、パーソナライズした顧客体験を迅速に提供できるPeople Based Marketingを実施することは、必然の流れといえるでしょう。この取り組みによって、企業はデバイスやチャネルによって妨げられることなく、シームレスな顧客体験を構築し、より戦略的に広告キャンペーンを展開できるようになるのです。

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