マーケティング戦略

データビジュアライゼーション最前線[前編]──情報を可視化するメリットとは

記事内容の要約

  • データビジュアライゼーションは多様な切り口でデータを可視化し、読み手の解釈を助ける手法
  • 読み手は「全体的な傾向」と「個別のデータ」を同時に把握することができる
  • データビジュアライゼーションは合意形成を促進することができる
  • はてなブックマーク
  • follow us in feedly

2010年の1年間で、世界に流れる情報量は1ゼタバイトを超えた。1ゼタバイトは「世界中の砂浜の砂の数」に等しいという。情報が爆発的に増え続けているインターネットの世界においては、データをわかりやすく効果的に伝える技術「データビジュアライゼーション」が注目を集めている。具体的にどのような技術で、ビジネスにどう活用できるのか、データビジュアライゼーションの専門家として実践と普及に取り組む矢崎裕一氏に話を聞いた。

データの解釈を助ける

データビジュアライゼーションは、データを可視化することで複雑に絡み合った事象を読み手にわかりやすく伝えることのできる手法であり、単にデータを眺めているだけではわからない「関係性」や「傾向」、「特徴」などを浮き彫りにしてくれる。昨今この手法が注目されている背景として、ビッグデータやオープンデータの普及にともなって、データを可視化するニーズが増えたこと、PCやスマートフォンが大衆化したことが挙げられる。

一般社団法人 Open Knowledge Japanが制作したサイト「税金はどこへ行った」

出典:矢崎裕一氏「データビジュアライゼーションとは〜地域課題のみえる化への適用可能性〜」(*1)

データビジュアライゼーションの特徴の1つに、ソート(データを並べ替える機能)やフィルター(データを絞り込む機能)などを通じて、表示されるデータを操作できる点がある。読み手が自身の見たい切り口でデータを見ることができるため、読み手に応じて多様なモノの見方を提供できる。

矢崎裕一氏が作成したスライド資料「データビジュアライゼーションとは〜地域課題のみえる化への適用可能性〜」

出典:一般社団法人 Open Knowledge Japan「税金はどこへ行った?」

たとえば、オープンデータとオープンガバメントを推進する一般社団法人 Open Knowledge Japanが制作したサイト「税金はどこへ行った?」(*2)では、読み手が「居住地」と「年間年収」を選択でき、選択結果に応じて、自身の支払っている税金が1日あたりどこで、いくら使われているのかが可視化される。これにより、データを読み手に自分ゴトとして理解してもらうことができる。データビジュアライゼーションの特徴を活かしたサイトといえるだろう。

「全体的な傾向」と「個別の情報」を同時に把握

フィルターや絞り込み機能を用いることで、「全体的な傾向」と「個別の情報」を同時に把握できる点もデータビジュアライゼーションのメリットである。矢崎氏が制作した「原発事故 避難者の声〜NHK福島放送局アンケート〜」(*3)を例に具体的に紹介しよう。

矢崎裕一氏が制作した「原発事故 避難者の声〜NHK福島放送局アンケート〜」。原発事故の避難者の声を可視化した。

出典:原発事故 避難者の声〜NHK福島放送局アンケート〜

「原発事故 避難者の声〜NHK福島放送局アンケート〜」は原発事故の避難者1000人以上を対象としたアンケートの自由記述欄で使われていた言葉を抽出・可視化したもので、頻出する単語であるほど文字のサイズが大きく表示されている。また、単語をクリックするとその単語に紐づいた避難者の思いを読むことができる。「避難者がいま気にかけている言葉は何か」という全体的な傾向を直感的に把握することができるだけでなく、クリックを通じて個別の声も知ることができる。

全体的な傾向を提供しつつ、読み手それぞれの切り口に応じて個別の情報も提供できる。結果的に、読み手は傾向と個別の情報をセットで理解することができる──これもまたデータビジュアライゼーションを活用するメリットである。

合意形成を活性化するメリットも

データビジュアライゼーションはさまざまな切り口からデータを見ることができるため、合意形成を促進するメリットもある。

一般的に、不特定多数の参加者が課題意識を共有したり、課題を解決するための方針や施策を共有したりする際にハードルとなりがちなのが「参加者の立場の違い」である。ある人には共有できる課題でも、立場や環境の異なる人にとっては共有できないことがある。ビジネスにおいても同様で、現場で働く人には共有できる課題意識でも、現場とは距離を置いている役職者にはピンと来ない、といったことがしばしば起こる。

読み手の切り口に応じたデータを提示できるデータビジュアライゼーションは、こうした立場の違いを超えて合意形成を促進したいときに効果的だ。参加者それぞれが自身の切り口でデータを可視化し、課題を自分ゴトとして捉えることができれば、一緒になって課題解決に取り組める意識を醸成することができる。

このように、データビジュアライゼーションは複数の特徴を持つツールであり、アルゴリズムの発展によって表現できる幅も広がってきているが、実際にビジネスで活用する場合はどういった可能性が考えられるのだろうか。後編では、企業がデータビジュアライゼーションを活用する際の切り口について掘り下げつつ、実践するために必要な人材やスキルについて説明する。

この記事の後編を読む

  • はてなブックマーク
  • follow us in feedly

Insight for Dの
ページにいいねしよう!

「いいね!」してInsight for Dの最新情報をチェック

Q. Yahoo! JAPANのデータソリューションは何がスゴイんですか? 答えはこちら

Q. Yahoo! JAPANのデータソリューションは何がスゴイんですか? 答えはこちら

Insight for Dの公式Facebookページ、Twitterでも最新情報や取材の様子を発信中。