デジタルマーケティング入門

データビジュアライゼーション最前線[後編]──ビジネスでの活用法を考える

記事内容の要約

  • データビジュアライゼーションは「広報・PR」の分野や「会議」での活用が期待できる
  • 実践するにあたってはデザインの知識とプログラミングの知識の両方が求められる
  • デザイナーとプログラマーでチームを組み、スキルを補完し合う体制が望ましい
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データをわかりやすく、読み手の求める切り口に応じて可視化できるデータビジュアライゼーション。行政をはじめ、すでにさまざまな分野で活用されはじめているが、ビジネスで活用するにあたってはどのような切り口が考えられるのか。また、実践するにはどういった点に留意する必要があるのか。データビジュアライゼーションの専門家、矢崎裕一氏に話を聞いた。

ビジネスへの応用の可能性

データビジュアライゼーションを企業のビジネスに応用する取り組みはまだはじまったばかりだが、たとえば、データを読み手にわかりやすく客観的に提示することが求められるメディアでの活用は親和性が高そうだ。

「現在のマスメディアでは、多くのデータを収集しても、そのなかから切り取った情報しか伝えようとしない傾向があります。切り取った情報の背後にあるデータもあわせて可視化することで、より客観的に情報を伝えられるようになり、受け手の満足度を高めることができるはずです」(矢崎裕一氏)

Notation LLC. 代表社員 矢崎裕一氏

次に広報・PR 面、たとえば企業が自社のニュースを発信する際にデータビジュアライゼー
ションを活用するという切り口が考えられる。提示するデータを通じて読み手に深い理解を促すことができるからだ。自社のビジネスと関係する社会的な課題を可視化し、読み手がその課題を自分ゴトとして捉えられるようなニュースを発信することができれば、話題づくりや自社のブランド価値の向上に役立てることができるだろう。

また、アイデアだしや合意形成を目的とした会議で活用することも考えられる。データビジュアライゼーションはデータの切り取り方を読み手が自由に選べるため、会議の参加者が提示された議題を自分ゴトとして捉えやすい。こうした特性を活用し、役職問わず活発な議論を促したいときや、参加者の合意形成を目的とした会議で活用すれば成果が期待できる。

このように、データビジュアライゼーションは対外・対内を問わずコミュニケーションが発生する場での活用が効果的だ。「複雑な事象をできるだけ読み手にわかりやすく伝えたいとき」や「読み手に新たな気づきをもたらしたいとき」、「多くの人に共通の課題意識をもってもらいたいとき」などに活用できるだろう。

データビジュアライゼーションの実践に必要なスキルは?

ここからは、実際にデータビジュアライゼーションを実践する際に留意しておくべきポイントを解説しよう。

データビジュアライゼーションを実践するには、データのビジュアル化に関する基本的な理解や知識のほか、データの操作やユーザーインタラクションを実現するためのプロ
グラミングの知識・スキルも求められる。

「国内ではデータビジュアライゼーションはもちろん、インフォグラフィックに関する基礎についてもあまり共有されておらず、欧米との間に開きがあるのが現実です。データビジュアライゼーションの裾野を広げるうえで、まずこうした知識体系を理解する必要があります」(矢崎氏)

もっともプログラミングに関しては、クリエーティブコーディング(デザイナー向けの開発環境)の整備やノウハウの蓄積が進み、敷居は比較的下がってきてはいるという。しかし、実践的なライブラリ、たとえばブラウザー上で仮想現実的な空間を表現することができるJavaScriptライブラリ「D3.js」(*2)などは、エンジニアでなければ使いこなすことが難しい。「理想は、デザイナーとエンジニアが互いのノウハウを吸収しながら、一体となってデータビジュアライゼーションを推進することです」と、矢崎氏は語る。]

実際、矢崎氏も制作を一部サポートした日本経済新聞 電子版のサイト「日経ビジュアルデータ」(*3)では、記者とデザイナーとエンジニアが一体となって制作を進め(まず記者が伝えたいことを明確にすることから制作がはじまる)、完成度の高いデータビジュアライゼーションを提供している(参照記事:1つのコンテンツで1万7000件以上シェアされる日経ビジュアルデータの秘密)。 専門のチームをつくりデータビジュアライゼーションを実践している、国内でも貴重な事例だ。

日経Visual Dataサイト『米大統領選2016 開票ライブ』(*4)
日経Visual Dataサイト『米大統領選2016 開票ライブ』コンテンツ内のグラフィック例

データビジュアライゼーションを活用した取り組みは、国内ではまだはじまったばかりだが、矢崎氏が語るように、活用のハードルは徐々に下がりつつある。また、デザインとプログラミングの知識をもった人材がチームを組むことでスキル面のハードルもクリアできる可能性がある。データビジュアライゼーションの特徴やしくみを理解することで、ビジネスの場でもさまざまな活用事例が生まれてくることだろう。

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