市場・トレンド

【解説】ブランドアフィニティー(Brand Affinity)

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「ブランドアフィニティー」は、企業のブランドと顧客との関係性を表す言葉だ。「アフィニティー(Affinity)」とは、「親近感」や「親しみ」、または「(血縁以外の)親戚関係・姻戚関係」といった意味を持つ。つまり、ブランドアフィニティーとは、特定のブランドを、自分の“親類”や“友人”のように極めて近しい存在と見なすことを表している。

エモーショナルなつながりで顧客離れを回避する

顧客とブランドとのあいだに心的なつながりが生まれると、顧客はそのブランドからなかなか離れようとしなくなる。

好例は、Apple製品のファンだ。Apple製品の熱烈なファンは、製品の欠点を批判することはあっても、安易にAppleの競合製品に乗り換えようとはしない。ほかに、より優れた性能の製品が発売されたとしても、簡単に心を動かされることはなく、Apple製品のユーザーであり続けることを選ぶ。また、Apple製品が批判されると、自分の親しい友人が責められているかのように不快感を示し、かばおうとするのである。

出典:ANNnewsCH

ブランドアフィニティーとブランドロイヤルティーの関係性

ブランドアフィニティーとよく似た言葉に「ブランドロイヤルティー(Brand Loyalty)」(ブランドに対する忠誠心。同じブランドを継続して購入する意向が強いこと)があり、両者が似た文脈で使われるケースも少なくないが、意味は異なる。

ブランドアフィニティーとブランドロイヤルティーの関係性を理解するうえで押さえておきたいのは、以下2つのケースだ。

まず、ブランドアフィニティーもブランドロイヤルティーもある状態。つまり、前述のAppleのケースのように、顧客はブランドに対して親近感を持っており、かつ継続的に製品やサービスを購買している状態である。こうした状態にある顧客は競合製品になびきにくいため、ポジティブな口コミ(Apple製品の機能の高さやデザインの美しさ、製品が開発された背景にあるストーリーなど)が発生しやすい。

次に、ブランドアフィニティーはないがブランドロイヤルティーはある状態。これは、ブランドに対して特に心的なつながりを持っていないが継続的に製品を購買している状態だ。単なる「習慣」や「惰性」、あるいは「ほかのブランドのことをあまり知らない」といった理由から、顧客が同じブランドの製品を買い続けている状態ともいえる。このような顧客は、ほかにもっと優れた製品を見つけることで、あっさりと別ブランドの商品を購入(ブランドスイッチ)してしまう可能性が高い。

とりわけ今日では、ソーシャルメディアなどを通じて、人はさまざまなブランドからの誘惑にさらされている。そのような状況で自社の製品を選び続けてもらうには、自社のブランドと顧客との心的な関係構築が重要だ。消費者が日々接する情報量の増大に伴い、ブランドアフィニティーに対する関心はより高まっている。

ブランドの個性をネイティブ広告で伝える

ブランドアフィニティーを獲得するためには、ブランドパーソナリティー(ブランドの特性や個性)をしっかりと伝えることを前提に、コミュニケーションを企画することが重要だ。ブランドの個性が見えなければ、人はそのブランドに共感や親しみといった感情を抱かないからである。

そのうえで各ブランドは、店舗やインターネットを通じて顧客とつながり、キャンペーン告知など顧客のメリットになる情報を適宜発信することで、疎遠にならないようにしなければならない。また、カスタマイズした情報を発信して、顧客に「自分のことを理解している」と思わせることが必要になる。

また、ブランドアフィニティーを獲得する場として、ソーシャルメディアが有効であることも忘れてはならない。たとえば、米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社は、ネットメディアの『BuzzFeed』と組み、GEのブランドパーソナリティーを伝えるブランデッドコンテンツを制作し、BuzzFeedのネイティブ広告枠から配信(*1)。その効果を調査した。

BuzzFeedが公開した、GEのネイティブ広告の調査結果

その結果、当該広告に接触した人が「GEは独創的」と感じる比率が、接触していない人の約2.4倍(138%増)に達したという。しかも、ソーシャルメディアを通じてGEのネイティブ広告に接した場合、約80%の人がGEに対して好印象を持ったようだ。

GEのネイティブ広告の成功事例に限らず、ブランドの主張や個性、あるいはブランドが提供する体験に誰かが共感すれば、新たな共感を呼ぶことにつながり、ブランドへの好印象がソーシャルメディアを通じて自然に拡散していく可能性がある。この原理を巧みに使いながら、ソーシャルメディアへのアプローチを続ければ、多くの人のブランドアフィニティーを醸成していくことが可能になるはずである。

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