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【解説】エフェメラル系SNS

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「エフェメラル系SNS」とは、一定時間経過すると受け取ったメッセージが自動的に消えるしくみをもったSNSの総称だ。「エフェメラル」(ephemeral)とは、日本語で「はかない」「つかの間の」といった意味をもつ単語で、カジュアルに「消える系SNS」と呼ばれることもある。

エフェメラル系SNSは、10代~20代の若年層を中心に新世代SNSとして注目を集めており、現在はより幅広い世代へと広がりつつある。同じような特徴をもつSNSは数多く存在するが、国内では特に「Snapchat(スナップチャット)」と「SNOW(スノー)」の人気が高い。

Snapchatは開封後10秒以内にメッセージが消え、SNOWはマイストーリーとよばれる公開範囲を設定できるタイムライン機能で写真や動画を友人に送信することが可能だが、その投稿は48時間後に消える。

また、Facebook、Twitter、LINEに次ぐ人気SNSで、とくに10代~20代の女性に支持されているInstagramでも、24時間が経つと投稿が消える機能「ストーリー」(*1)を、2016年11月に追加した。

従来のSNSとエフェメラル系SNSの違い
従来のSNSは、投稿した内容は(ユーザーが削除しない限り)残るので、そこに評価やコメントなどが蓄積していく。エフェメラル系SNSの場合、投稿した内容は消えてしまうため、評価やコメントは残らない。

消える特性を生かすには発想の転換が必要

消えてしまうことが前提になると、重要な内容のやりとりには向かないため、結果的にたわいないコミュニケーションで利用されることが多い。すると、投稿時のハードルも下がるため、ますます利用されるという好循環が生まれる。

またSNOWには、撮影対象の顔を自動認識し、動物風の耳や鼻のスタンプを重ねて表示したり、ツーショットを撮った人物同士の顔を入れ替えたりするユニークな加工機能が付いている。通常であれば、「やり過ぎ」「恥ずかしい」と思えるような加工された写真でも、消える前提なら思い切って送ることができる。エフェメラル系SNSであったことが、この加工機能の利用を促し、SNSとしての人気にもつながったといえる。

SNOWの顔認識スタンプ(*2)
 SNOWには、撮影対象の顔を自動認識し、動物風の耳や鼻のスタンプを重ねて表示する加工機能が付いている

SNOWの顔入れ替え機能で撮影した写真
SNOWには、ツーショットを撮った人物同士の顔を入れ替える加工機能が付いている

企業がこれらのアプリをマーケティングに活用する場合には、メッセージが消えるという特性を踏まえることが必要である。従来は「残ること」「残してもらうこと」を前提に、いかにコンテンツをつくり込んでリッチにできるか、そして長期間プロモーション効果を維持できるかが意識されてきた。しかしエフェメラル系SNSでは、それとは異なる発想が求められる。

たとえば、投稿内容が一定時間で消える場合は、ユーザーに「消える前に見ておきたい」というモチベーションが生まれる。また、その期間内にユーザーが集中的に見ることになるので、期間限定クーポン配布などのように瞬発力のある施策に使える。限定感をうまく盛り上げられれば、見ることができたユーザーによるクチコミの拡散が期待でき、見られなかったユーザーにも「次は見逃さない」というモチベーションアップの材料になると考えられる。

マーケティングへの利用は効果測定の確立が鍵

日本コカ・コーラは2016年9月から11月まで、ドリンク製品の新発売プロモーションとして、SNOW向けのスタンプを配信した(*3)。写真の人物の顔が製品キャラクターとともに加工されるという、SNOWの使われ方を意識したものとなっている。

日本コカ・コーラの新製品キャンペーンサイト(*4)
日本コカ・コーラは、SNOWの独自スタンプを使った新製品キャンペーンを実施

シャネルは、Instagramのストーリーを新製品である香水の発表パーティーで活用した。出席したジョニー・デップの娘で女優のリリー=ローズ・デップが、ラフなオフショットを投稿するというプロモーションを実施。24時間限定という特徴を生かし、いつもの「精巧につくり込まれたシャネル」とは違うブランドイメージを演出した(*5)。

マーケティング担当者としては、コンテンツをつくり込む意味が薄れる反面、フットワークの軽さや伝えたいメッセージとタイミングをいかに見極めるかが重要になる。また、「いいね」やコメントなどユーザーからの反応を得る機能がなく、投稿内容そのものも消えてしまうため、トラッキングができず効果測定もしづらいという側面もある。

実際、利用している企業にとっても、まだ「新しいSNSの可能性を探っている」という段階といえるが、今後定番のマーケティングツールとして活用するには、従来とは異なるKPIや評価方法の設定が必要となる。

【参考記事】
【解説】インスタント・グラティフィケーション

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