Dの視点

【Dの視点】データがもたらす4つの価値

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「データ活用」があちらこちらで叫ばれる中、「何となく、データって役立ちそう」と思ってしまうこともあるのではないでしょうか。たしかに、ビジネスにおいてデータは役立ちます。ただし、それにはデータを使うことに、「きちんと目的があること」という条件が付きます。

データそのものは、単なる電子符号です。それが意味を持つのは、「こういう目的のため、これが知りたい」と明確な意思のもとに集計したり分析したりしたときです。前回説明した血圧測定の例でいえば、血圧の変化から問題のある兆候を知りたい、高血圧の原因を知るために、血液中の成分や臓器の値を測り、レントゲンを撮るといったことになります。目的がなければ、これらのデータは単なる数値、モノクロ画像でしかありません。

よく「データ活用は課題ありき」といわれます。米バブソン大学のIT・経営学の教授であり、またマサチューセッツ工科大学(MIT)のデジタル・ビジネス研究センターのリサーチ・フェローで、データ分析をビジネスに活用することを早くから提唱してきた、トーマス・H・ダベンポートは、著書『データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦(原題:Big Data at Work: Dispelling the Myths, Uncovering the Opportunities)』(日経BP社)の中で、「課題ドリブンかデータドリブンか」という表現を使っていたように記憶しています。

では「データ自体に何の意味も価値もないのか」といえば、それは違います。データがあることによって生み出される価値は4つあります。第1の価値とは「客体化」です。

デジタル大辞泉で「客体」という言葉を調べると、次のように説明されています。

  1. 主体の認識・行為などの対象となるもの。かくたい。⇔主体。
  2. 意識から独立して存在する外界の事物。客観。かくたい。

たとえば、風ひとつない暑い夏の日に、誰かが「風が吹いている」といっても、なかなか実感は湧きません。ところがそこに、風鈴の音がかすかに聞こえれば「微風でも風が吹いているんだ」とわかります。データを使って可視化をすることで、事象が客体化されます。さまざまな役割や利害を持つ人がいるビジネスの場では、課題や問題の共有が可能になるということです。

第2の価値は「発見」です。第1の客体化と意味が近いのですが、今まで見えなかった事物に対する気づきや認知ができるということです。これは、以前の記事で取り上げた血圧計の例がわかりやすいでしょう。自分で認識できていない血圧の状態が、数値として見えるようになったことで、初めて認識できるのです。あるいは、データ分析を行うことで、事象を構成する要因を見つけることができます。

第3の価値は「最適化」です。前回は、データ分析の目的として「ビジネスの最適化」ということを説明しました。ビジネスの最適化とは、事業を維持・成長させる戦略・施策の実行にあたり、成果を最大化するためどこにどれだけのリソースを投入するかを、データによって客体化された事実と、分析によって得られる要因や原因、特徴、パターンに基づいて、より高い確度で判断・実行できるようになるということです。

マーケットが飽和し、シェア競争が決着した製品にマーケティング予算を投入するより、シェア競争の決着していない製品に広告費や営業を投入するほうが効果は高いでしょう。こうして最適化することで事業を継続し、経済活動を続け、社会貢献が可能になるわけです。

データがビジネスにもたらす価値は、ある意味この3つに集約されるといってよいでしょう。ただ、視点を未来に向けると、さらなる価値をデータがもたらします。それが第4の価値となる「予測」です。これから起きる未来の事象を知るためにデータを利用することです。

データがもたらす4つの価値
データがもたらす4つの価値。1.客体化、2.ディスカバリー、3.最適化、4.予測

1〜3は、普段の業務の中でその価値を感じる局面もあるのではないでしょうか? たとえば予算作成という業務で予測をやっているという方もいらっしゃるでしょう。しかし、データを使った予測の対象はまだまだ限定的です。それでも、さまざまな事象の要因がデータとして得られ、それが蓄積されている。そのデータを処理する技術が進化している。これまでは予測困難とされていたさまざまな事象を、過去の経験とこれまでに蓄積されたデータからより高い確度で予測できる。未来の予測された事象に対してよりよい状態になるように、現在の事象や要因に働きかけをしていくことができる、あるいは予測された未来に対しての備えができる。これらのことを考えると、データがもたらす価値は、まだまだ計り知れない。そう考えています。

著者プロフィール

橋本 恭明(ハシモト ヤスアキ)

株式会社GYAO CRM室室長。2004年7月、ヤフー株式会社に入社。検索事業部、広告開発本部、メディアサービスカンパニーメディアサイエンス室、データ&サイエンス統括本部データサービス本部などでデータやサイエンスを使ったプロジェクトマネジメントに従事。2016年10月よりエンターテインメント事業を展開する株式会社GYAOに出向。

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