注目のトレンド

【解説】マルチタッチアトリビューション(MTA)

  • はてなブックマーク
  • follow us in feedly

「マルチタッチアトリビューション(MTA)」とは、マーケティング施策に対する消費者のリアクションを計測する手法の1つだ。

消費者に対するマーケティング施策におけるゴールの多くは、売り上げの向上、つまりは自社の商品をより多く購入してもらうことにあり、その達成に向け施策の最適化することがマーケティング担当者のミッションとなる。

ただ、今日の消費者は、商品を購入するまでにさまざまな経路をたどる。たとえば「オンライン完結」のパターンでは、インターネット広告あるいは企業から送られてきたDMやメールマガジンに反応してブランドサイトに訪問し、商品を購入する。「オンラインからオフライン」の経路をたどるパターンでは、検索サイトで目的の商品を探し当て商品の機能(スペック)を確認した後、実店舗で購入する。さらに、実店舗で商品の良否を確認してからオンラインショップで購入する「オフラインからオンライン」に流れる購入パターンも存在する。

そのほかにも近年では、SNSで知人から紹介された商品を実店舗やオンラインショップで購入するようなパターンもある。オンラインショップだけでなく、SNSやブランドサイトなどあらゆる場で商品が購入できる「コンテクスチュアルコマース(Contextual Commerce)」が盛んになるなど、商品を購入するまでの経路は日増しに増えてきている。

ゆえにマーケティング担当者は、自社がマルチチャネルで展開するあらゆるマーケティング施策を総合的にとらえ、それぞれの売り上げ貢献度を精緻に割り出す必要に迫られている。そのための有効な手法が、MTAだ。

「売り上げ貢献度」を適切なタイミングで測る

デジタルマーケティングの効果測定ではよく、消費者が“商品の購入直前に企業やブランドの情報に接触したポイント(タッチポイント)”が単純に「売り上げ貢献度が高い」と評価され、最終的なタッチポイントに至るまでの道筋が一切考慮されないことがある。ただし、これではマーケティング施策の効果を正確に割り出すことはできない。

MTAでは、各タッチポイントに対し、消費者が何回、どういったタイミングで企業やブランドの情報に接触したのかといった接触情報や、その結果として商品にいくら投資したのかなどのデータをマーケティング分析ツールなどで収集・蓄積・分析して、各タッチポイントの効果(=売り上げ貢献度)を割り出す。

マルチタッチアトリビューションの展開イメージ
マルチタッチアトリビューション(MTA)は、消費者ごとの行動をベースに、各チャネルのアクションを分析し、売り上げ貢献度を割り出す

MTAでは、消費者ごとの購入額とその消費者がタッチした各チャネルでのアクションなどをベースにモデルを組み、分析を行う

たとえば、A社のブランドサイトに何十回も訪れた消費者が、外部のオンラインショップでA社の商品を購入したとすれば、オンラインショップよりもブランドサイトの売り上げ貢献度のほうが高いと見なされる。また、動画広告と接触した経験のある消費者が絶対的に少ない場合でも、動画広告を見た経験のない消費者に比べ、見た経験のある消費者のほうが商品への投資金額が相対的に高く、かつ、その金額が売り上げ全体の多くを占めれば、動画広告の売り上げ貢献度は高いと見なされる。

マーケティングをリアルタイムに最適化する時代へ

顧客体験が重要視される今、カスタマージャーニーに沿ったマーケティング施策が各企業で展開されている。さらに、マーケティング分析ツールの進化により、ユーザー個人の消費行動もデータで取得できるようになってきた。

そのなかでMTAは、オムニチャネル戦略を洗練させる手法としても有効だ。実際、あらゆるタッチポイントからリアルタイムに収集した消費者の接触情報を分析すれば、個々の消費者の状況が即座に把握できる。そうなると適切な内容の販促メッセージを適切なチャネルを通じて、適切なタイミングで届けることができる。つまり、消費者のニーズにフィットした商品の購入を勧められるようになるのだ。これにより、より多くの消費者を実店舗に呼び込み、商品を購入してもらうチャンスが押し広げられる。

ただ、MTAの実践には相応の労力と投資が必要となる。組織の面では、適切な専門組織をつくり、予算を確保することが必須で、そのためには経営陣の積極的な支援のもと、データの収集・分析用の最適なテクノロジーの導入が欠かせない。また、外部のマーケティングパートナーからも必要なデータが集められるようにしておかなくてはならない。

さらに、データを取得する前段階として、顧客のセグメンテーションやマーケティングオートメーション、メディアバイイングなどに関する正確な統計データも不可欠といわれている。

つまり、MTAを用いて「一気通貫」で分析を行うためには、運用と組織の両輪がうまく回っていることが求められるのだ。

  • はてなブックマーク
  • follow us in feedly

Insight for Dの
ページにいいねしよう!

「いいね!」してInsight for Dの最新情報をチェック

Q. Yahoo! JAPANのデータソリューションは何がスゴイんですか? 答えはこちら

Q. Yahoo! JAPANのデータソリューションは何がスゴイんですか? 答えはこちら

Insight for Dの公式Facebookページ、Twitterでも最新情報や取材の様子を発信中。