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【解説】官民データ活用推進基本法

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「官民データ活用推進基本法」(*1)とは、2016年12月7日に参議院本会議で可決・成立し、12月9日の閣議決定を受けて公布、即日施行された法律で、国や自治体、民間事業者がもつ「官民データ」の活用を推進することを目的としている。

この法律では、「少子高齢化をはじめとする国の課題の解決には、インターネットなどで流通する多様かつ大量の情報を活用しやすい環境を整備することが重要である」という考えのもと、基本理念をはじめ、官民データ活用推進戦略会議を設置することなどが定められている。

また、この法律の第一章第3条2の基本理念には、データ活用の大義について以下のように示されている。

「官民データ活用の推進は、地域経済の活性化及び地域における就業の機会の創出を通じた自立的で個性豊かな地域社会の形成並びに新たな事業の創出並びに産業の健全な発展及び国際競争力の強化を図ることにより、活力ある日本社会の実現に寄与することを旨として、行われなければならない」

つまり、日本の地域社会発展や国際競争力向上につながるものとして、データ活用を位置づけている。

長期展望では企業によるデータ活用の後押しも

この法律では基本的な施策として、以下の項目があげられる。

  • 行政手続のオンライン利用の原則化
  • 国、自治体、企業が保有する官民データの活用の推進や関連する制度の見直し(コンテンツ流通の円滑化を含む)
  • データ流通における個人の関与の仕組みの構築
  • 情報システムの規格整備、互換性確保、業務見直し、官民の情報システムの連携を図るための基盤整備
  • マイナンバーカードの利用や研究開発の推進

また、都道府県に対しては「都道府県官民データ活用推進計画」の策定が義務づけられ、市町村にも努力義務が課されている。国や自治体のシステム構築やオープンデータ化支援などに関わる企業にとっては、新たなビジネス機会が創出される可能性もある。

官民データ活用推進基本法はあくまでも基本法であり、現在データ活用に取り組んでいる企業やそのビジネスに何らかの規制や義務が直ちに発生するようなものではない。しかし、国の法律として「データ活用の推進」が示されたことで、国や自治体によるオープンデータの公開や利活用のための取り組みがさらに積極的になり、データ利用の規制や法律が緩和の方向に進むなど、長期的に見るとデータ活用に取り組む企業の後押しになることが期待される。

法律で初めて「AI」「IoT」「クラウド」を定義

官民データ活用推進基本法は、日本の法律で初めて「AI」「IoT」「クラウド・コンピューティング・サービス」という用語を定義した点でも注目されている。各用語は、次のように定義されている。

官民データ活用推進基本法における技術・用語の定義
官民データ活用推進基本法でAi、IoT、クラウドなど、私たちの身近になってきたテクノロジーの用語の定義も定められている

官民データ活用推進基本法 第一章第二条2、3、4を抜粋して作成(*1)

いずれも、IT業界ではバズワードと呼ばれるほど重要で注目されてきた用語だが、厳密にはこれらに該当しない技術であるにもかかわらず、自社製品を宣伝するために使用されるケースも少なからずあった。この用語の定義内容には議論の余地もあるが、法律で定義されたことで、さまざまな業界を越えて議論する際のよりどころができたといえよう。

具体的な効果はオープンデータの充実とその応用から

官民データ活用推進基本法による具体的な効果や事例はこれからだが、想定されるものとしては、国をはじめとするオープンデータへの取り組み強化が筆頭に挙げられる(*2)。

たとえば、総務省による「DATA GO JP」(*3)や経済産業省による「Open DATA METI」(*4)、データエクスチェンジコンソーシアムによる「現代日本データカタログ」(*5)といったカタログサイトのさらなる充実や、それらのデータを活用した地域経済分析システム(RESAS:リーサス)(*6)のようなサービスの実現などが考えられる。

地域経済分析システム(RESAS)
地域経済分析システム(RESAS:リーサス)は、経済や人口などのデータをビジュアライズし、わかりやすい形で利用者に伝えている

国内の人の移動を表した「まちづくりマップ」from-to分析(*7)

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