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【解説】データコープ(Data Co-op)

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「データコープ(Data Co-op)」とは、企業同士が互いのデータを共同利用することで、データから得られる価値を高めようとする取り組みのこと。

特定のデータ分析や広告配信サービスなどのプラットフォームにおいて、複数の企業がオーディエンスデータを互いに持ち寄って統合すると、データの全体量と多様性が増すことになる。つまり、自社データだけでは分析に必要な量や要素が不足していたとしても、他社のデータによって補強できることで、信頼性と精度の高い分析結果が得られる。

データコープは、種類や量が多いほど利用価値が増すようなデータに有効であるため、マーケティング施策を実施した際に蓄積されるオーディエンスデータなどの利用に適しているといえる。

データコープの概要
データコープによって、サービス利用企業は自社のデータを含め、データ分析サービスや広告配信サービスなど、複数社でデータを共同利用でき、サービス提供事業者はデータが集まることでサービスを強化出来る

注目される背景にある課題

データコープが注目される背景には、データ活用に対する企業の意識が向上する一方で、消費者のインターネット利用における環境や形態が多様化し、蓄積される利用データがプラットフォームごとやデバイスごとに断片化しているという課題がある。

ビッグデータの活用が企業競争力を高めるといわれて久しいが、実際にはビッグデータと呼べるほどの膨大なデータを持っている企業は限られている。データ活用に期待を寄せつつも、自社で活用できるほど十分なデータを持っておらず、外部データを購入する予算も確保できない企業にとって、データコープは合理的な選択肢となる。

「データコープ」と「データエクスチェンジ」の違い

データコープは、他社のデータを利用するという点で「データエクスチェンジ(*1)」(Data Exchange)に似ている(*2)。

しかし、データエクスチェンジは、一般的にデータの売買といった「流通」のニュアンスが強い。一方、データコープの場合は、まずデータ分析サービスや広告配信サービスといったデータの“器”があり、そこに企業がデータを持ち寄って「共有する」というニュアンスが強い。実際は、既存のデータを提供するというより、サービスの利用によって発生・取得するデータを他社と共有することに同意するケースが多いが、共有がポイントであることに変わりはない。

また、データエクスチェンジの提供者(データエクスチェンジャー)が、新規見込み顧客をウェブサイトに誘導したり、既存顧客に類似するモデルオーディエンスを対象にオンライン広告を配信したりするなどデータ仲介者の役割を担うのに対し、データコープの提供者は、データの仲介者であると同時に自らもデータを活用したサービス提供者でもある。

このような特徴から、データコープを強化するためには、共同利用データが増えるほど魅力が高まり、さらに多くの企業が参加したくなるような設計が求められる。また、データの共同利用がサービスの向上につながるという点では、データコープはサービスモデルの1つとしてとらえることもできる。

マーケティング分野を中心に広がりを見せる

データコープはマーケティング分野で活用されることが多く、ターゲティング広告におけるパーソナライゼーションの精度向上などの事例が見られる。

ある海外企業のターゲティング広告配信サービスでは、トラッキングクッキーによって収集されたオーディエンスデータをサービス利用企業間で共同利用することで、オーディエンス拡張を実現し、ターゲティング精度を高めている。

また、日本国内でも、セグメント情報やクリック数といったデータの共同利用を条件にしたメール配信サービスが提供されている。特にDMPやマーケティングオートメーションなどで、データコープやそれに類似した取り組みの例が多い。

さらに、複数デバイスを利用するユーザーの行動を把握するためにデータを共同利用する「ユーザー認識プラットフォーム」も存在する。その仕組みは、ユーザーに固有の識別子を割り当て、それを軸にプラットフォーム参加企業のウェブサイトやサービスを通じて得られた行動データを紐づけることで、デバイスをまたいだ行動でも個人や家族単位で把握できるというものである。これにより、1人のユーザーが複数デバイスを使い分けることで生じる断片化の課題を解決し、従来のデバイス単位から個人単位のマーケティングを可能にしている。

企業はプライバシーに配慮しながら共同利用を促進

データの共同利用というと個人情報やプライバシー関連の懸念があるが、データコープの場を提供する事業者もこの点には十分配慮している。実際、共同利用されるデータは匿名化や暗号化がなされており、個人を特定できないようになっている。

現在、データコープの目立った事例はマーケティング分野が中心だが、この取り組みが生かされる分野は、IoTや人工知能(AI)など他にもある。独自のデータを持つことは、競合に対する差別化要因になるが、それはしっかりとデータを活用できていることが前提だ。

2016年12月には官民データ活用推進基本法 、2017年5月には改正個人情報保護法と、関連法律が立て続けに施行されるなど、データ活用の機運はますます高まっている。自社だけでは活用が難しいデータは、抱え込むのではなく他社と共同で活用するというデータコープの取り組みやサービスモデルは、今後より幅広い分野に広がっていくと考えられる。

【参考記事】
【解説】トータルオーディエンス計測

注釈:
(*1)データエクスチェンジとは、オーディエンスデータなどを提供者と利用者との間で仲介すること。仲介事業者はデータエクスチェンジャーと呼ばれる。
(*2)国内の取り組みについては、こちらを参照ください。
データエクスチェンジコンソーシアム(外部サイト)
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