コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングをはじめる前に(3)~成果につなげるためのKPI設定

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連載第1回ではコンテンツの展開に必要な4つの視点、第2回ではコンテンツの構成要素について紹介しました。最終回となる今回は、コンテンツマーケティングの実施にあたり、目的達成の中間指標となるKPIをいかに設定すべきかについて説明します。

コンテンツマーケティングの効果指標は1つではない

コンテンツマーケティングをうまく活用する上で、コンテンツの展開に必要な4つの視点を理解し、最終的なマーケティング目的に応じた「設計」が重要であると、ここまで2回の連載でお話してきました。それに加えて大切なのは、PDCAサイクルを回してマーケティング活動を改善し、効果を高めていくことです。

「潜在顧客を獲得する」という目的においてコンテンツマーケティングの効果を考える時、ありがちなのが従来の広告同様に、CPA(顧客獲得単価)にとらわれることです。確かに、顧客獲得が目的の場合、費用対効果をはかるための指標はCPAとなります。しかし、見るべきKPI(中間指標)はそれだけではありません。

PDCAを回す上で確認すべき中間指標

潜在顧客を獲得するためのコンテンツマーケティングを実施するとき、確認すべきKPIはどのようなものでしょうか。ここでは、自社コンテンツの記事に集客し、そのページの下部に、関連商品の説明ページへ遷移するバナー広告を設置した場合を想定します。

まず、図1にあるようにコンテンツマーケティングの活用フローを4つのフェーズに分け、各段階においてどのような効果指標を見るべきかを確認しましょう。

図1 コンテンツマーケティングの4つのフェーズ
後述しているコンテンツマーケティングの4つの例を表した図

図版内の「CTR」は、この例ではページ内のバナー広告のクリック率を指しています。

はじめに、「入口(誘導)」のフェーズです。ここでは、コンテンツへの顧客の集客量は足りているか、また狙ったターゲット層が来訪しているかを確認するために、「ページビュー(PV)」や「ユニークユーザー数(UU)」、来訪者の「属性」を確認する必要があります。

次の「施策(コンテンツ)」のフェーズでは、来訪者がコンテンツの中身を最後まで読んだのか、つまり「完読率」が見るべき指標となります。また、コンテンツの滞在時間や離脱率、離脱箇所を明確にしておくことが重要です。

「出口(行動)」フェーズでは、コンテンツが来訪者のアクションを喚起しているかを確認します。たとえば、商品ページに誘導するバナーの「クリック率」や、コンテンツに関連する特定のキーワードを検索する比率がどのように変わったか、SNS上でコンテンツがどのくらい拡散されているかなどをチェックし、来訪者のコンテンツに接触する前後での態度変容を確かめます。

最後に、「ゴールとなるアクション」のフェーズはコンテンツマーケティングの目的に対するゴールであり、コンテンツマーケティングを実施する多くの企業が最も気にするポイントです。この段階で確認すべき指標は、購買や会員登録、問い合わせなどのコンバージョン、検索行動、オウンドメディアへの誘導などになります。

効果的にPDCAを回すためには、「入口(誘導)」、「施策(コンテンツ)」、「出口(行動)」を経て、「ゴールとなるアクション」までを含めて一貫して指標を見ていくことが重要です。

中間指標により改善ポイントが異なる

では次に、なぜ4つのフェーズごとに指標を確認することが必要なのか、その理由を説明していきます。

まず、図2と図3のグラフを見てください。どちらのグラフも「入口」フェーズでのコンテンツの誘導数は100で、「出口」でクリック数が20、「ゴールとなるアクション」フェーズでのコンバージョン数が5となっています。
一方で、「施策」フェーズの完読数では、図2が80、図3が30で明らかに差があります。

図2
4つのフェーズごとに確認する指標を表した図例

図3
4つのフェーズごとに確認する指標を表した図例

図2のグラフから分かることは、コンテンツの完読率は高かった(80%)ものの、バナー広告のクリック率にはあまり結びつかなかった(完読数の25%)ということです。ここから「コンテンツが顧客の態度変容を引き起こせなかった」「広告のクリエイティブが顧客の関心を引かなかった」「コンテンツと広告の整合性が悪い」などの仮説が立てられます。

逆に図3は、コンテンツの完読率はあまり高くなかった(30%)ものの、完読した顧客によるバナー広告のクリック率が非常に高い(完読数の66%)ことを表しているため、「コンテンツ自体の品質に問題があり、顧客を十分に引き付けられていない」と考えられます。一方で、「広告では顧客の関心を引くことに成功している」ということがいえます。

つまり、同じ誘導率、クリック率、コンバージョン率であっても、“完読率”という効果指標における違いによって、改善すべきポイントが異なることが分かります。「施策(コンテンツ)」での問題なのか、はたまた「入り口(誘導)」や「出口(行動)」、もしくは「ゴールとなるアクション」における問題なのか、改善点を明確にするためには、各段階での中間指標をしっかり確認することが必要です。

では、コンテンツマーケティングを実施する目的の1つである「ブランディング」についてはどうでしょうか。具体的には顧客の態度変容をプラス方向に促進しなくてはなりませんが、そこで大きく態度変容を起こすためには、コンテンツを最後までしっかりと読んでもらうこと、すなわち“完読率”が重要な指標となります。

実際に当社で調査した結果、ある商品のコンテンツを完読した場合と、完読しなかった場合では、調査対象者のその商品に対する認知や理解度の高まりなどに違いがあり、いずれも完読した場合の方の数値が高いことが分かりました(図4)。この結果からもわかる通り、ブランディング目的のコンテンツマーケティングにおいては、完読率の改善を意識してPDCAを回すことが大切です。

図4 [非完読者・完読者別]ある商品記事に関するアンケート結果
商品認知についてのアンケート結果の図版

商品理解についてのアンケート結果の図版

Yahoo! JAPAN調べ(2017年1月)

以上、全3回の連載でコンテンツマーケティングをはじめる前に知っておくべき考え方と事例をお伝えしてきましたが、これらはあくまでも基本的な部分に過ぎません。コンテンツマーケティングはその誘導方法、置き場所や形態、表現において自由度が高く、活用範囲も多岐にわたることが特徴です。たとえば、リターゲティング広告などと組み合わせることでその効果を高めたり、ウェブ以外のメディアや店舗、あるいはイベントなどのオフラインと連携して相乗効果を生み出したりすることも可能です。

そして、コンテンツマーケティングは、「とりあえず動画を作って拡散させよう」「CPAが見合わないから1回でやめよう」といった短期的で単純なものではありません。その目的に応じてゴールまでのフェーズに落とし込み、設計・改善を行うことで成果を高めていく手法です。継続的にコンテンツマーケティングを有効活用していくには、基本的な視点を理解し、長い目で取り組む覚悟が必要といえるでしょう。

【参考記事】
コンテンツマーケティングをはじめる前に(1)~コンテンツの構成要素とは
コンテンツマーケティングをはじめる前に(2)~コンテンツ要素の設計ポイント

著者プロフィール

安藤 洋輔(あんどう ようすけ)

大手新聞社系Webメディアなどのライター・編集を経て、コンテンツ領域のWebマーケティングを得意とするプロデューサーとして活躍。2016年4月にヤフー株式会社に入社。同年10月よりYahoo! JAPANのスポンサードコンテンツのサービスマネージャーとしてYahoo! JAPANのコンテンツマーケティングを推進。

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