組織づくり・人材育成

データでアクションを起こせ! “VUCAな時代”における組織と営業のあり方

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データドリブン――。この言葉をビジネスで耳にする機会が非常に増えた。実際Yahoo! JAPANも、2016年12月に「今後はデータドリブン企業と呼ばれることを目指す」と宣言し、多岐にわたってデータを活用したビジネスを推進している。

一方で、データ文脈でビジネスが語られるのは、ほとんどがマーケティングや企画・開発の領域であり、「営業部門ではいまだにデータを活用する意識が定着していない」という企業も多いのではないだろうか。

2017年6月、Yahoo! JAPANが「データドリブン×営業」をテーマに2部構成の社内セミナーを開催。第1部では、「先行き不透明なビジネス環境で、データを活用して、お客さまに信頼される営業になる」と題し、ドーモ株式会社セールスコンサルティング部長の奥野和弘氏が登壇した。

今回は、奥野氏の講演内容をもとに、営業担当者として“データドリブン”とはどう意識するべきかについて紹介する。

VUCAな時代とは

予測不能な出来事が次々と起きる今の時代は、“VUCAな時代”だといわれる。

VUCAとは、Volatility(不安定)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の4つの頭文字をとった言葉で、“今までの戦い方が通用しない、先行き不透明な現代のビジネス環境”を表している。たとえば、旅館の競合といえば数年前まではチェーン系ビジネスホテルだったが、今ではAirbnbというまったく畑違いのIT企業を相手に戦わなくてはいけない。従来のビジネスのやり方から抜け出して経営戦略を練らなくてはいけない状況は、まさにVUCAであると奥野氏は指摘した。

今、世界中の経営者がこのキーワードに関心を示しており、世界経済フォーラム(ダボス会議)でも取り上げられたそうだ。

ヒエラルキー型組織 vs ネットワーク型組織

VUCAな時代に求められる組織のあり方とは、どのようなものなのか。

奥野氏は、VUCAな状況における組織論の第一人者であるスタンリー・アレン・マクリスタルという人物の例をもとに説明。マクリスタルは、アフガン駐留軍司令官を務め、アルカイダとの戦いを指揮した司令官だ。

当時、アメリカ軍は装備面で圧倒的に優れていたにもかかわらず、アルカイダに後れをとっていたという。それはなぜか。

軍というのは典型的なヒエラルキー型組織であり、トップのみが全情報を掌握して、意思決定を行う。そのため、戦争においては、相手の作戦の指揮命令系統を把握して意思決定機関をたたき、軍として機能させないことが重要である。ところが、なかなかアルカイダの指揮命令系統は把握できなかったという。

ヒエラルキー型組織の体制
ヒエラルキー型組織では、情報は組織の下部から上層部へと集約されておき、意思決定は上層部の人物によって行われる

奥野氏講演資料より抜粋

実はアルカイダは、現場の兵士がスマートフォンを使ってお互いの状況をシェアし、いつどこに攻撃すべきかを現場が意思決定する“ネットワーク型組織”だった。総司令官はいるが、あくまでビジョンを語る立場として存在し、作戦行動は現場の判断に任せられていた。一方のアメリカ軍は、従来型のヒエラルキー型組織であり、臨機応変に立ち回るアルカイダに後れをとるもの必然だった。

そこで、マクリスタルは従来のヒエラルキー型組織を見直し、アメリカ軍もネットワーク型組織に方向転換する決断を下した。すばやく現場に情報を共有し、現場での判断を促す組織体制にかじを切ったことで、他の要因もあったにせよ、結果として勝利を収めることができたという。

これはまさにVUCAな状況にうまく対応できた例だ。これはビジネスでも同様であり、VUCAな時代では、トップの判断をただ待つだけのヒエラルキー型組織は生き残れない。現場が自ら考えてタイムリーに意思決定を行える、ネットワーク型組織であるべきだと奥野氏は語った。

ネットワーク型組織になるための条件

ただ、ネットワーク型組織になるためには、条件があるという。

いくら現場に権限委譲されたとしても、経験や勘で意思決定されてはいけない。必要なデータがリアルタイムに手に入り、データをもとに意思決定されて初めて、ネットワーク型組織として機能するそうだ。

意思決定をするには、必要なデータがリアルタイムに正しく手に入らないといけない。これが今、ビジネスにおいて、「データドリブンであれ!」と叫ばれる背景だと奥野氏は語った。

「分析」ではなく「診断」をおこなう

「データを見たり、分析をしたりするだけではデータドリブンとはいえません。データによって次のアクションが起こせることをデータドリブンというのです」(奥野氏)

具体的にどういうことか。臨床医と研究医を例に挙げて、奥野氏は以下のように説明した。

「われわれが風邪をひいたときになぜ病院に行くかというと、『手早く診察してもらって、健康を取り戻すアクションを提示してほしい(=診断してほしい)』からであって、症状を引き起こしたウイルスを正確に特定したいわけではないですよね。臨床医の仕事は、決まった手順に沿って原因を見極めて、適切な治療方法を決めることです。一方の研究医の役割というのは、そもそも既存の診察手順では原因を見極められない場合に新たな診療プロセスなどを研究することなのです」

そして続けて、「(アナリストでない)われわれは、研究医でなく、臨床医でなくてはなりません」と語った。


奥野氏講演資料より抜粋

“分析”はアナリストやサイエンティストの仕事であり、それ以外の担当者の仕事は“診断”すること。つまりアナリスト以外の者がなすべきこととは、「あらかじめ決まった手順で、決まったデータをもとに判断をくだし、薬を出す(=アクションを起こす)こと」である。

ちなみに、DOMOが他のBIツールと決定的に異なるのは、BIがデータサイエンティストの分析を簡便化するツール(「みんなを分析者に!」)であるのに対して、DOMOは分析者ではない一般のビジネスユーザーが診断を即座に行うためのツール(「みんなを意思決定者に!」)であることだそうだ。

最後に奥野氏は、VUCAな時代においてお客さまから必要とされる営業担当者であるために、以下のように述べて講演を終えた。

「言われたことを忠実に実行する実行者ではなく、行くべき道を教えてくれる信頼できる助言者であることが重要なのです」

プロフィール

ドーモ株式会社 ソリューションbb コンサルティング部 部長 奥野 和弘氏

神戸大学大学院で物理学修士号を取得後、日本HPでコンサルタントとして大規模システム構築に従事。その後、ILOG、Oracle、SAPなどの外資系ソフトウエアベンダーで、ミドルウエア、基幹系、情報系システムのプリセールスを経験。2015年ドーモ入社。データを活用したビジネス最適化の提案に従事する傍ら、エバンジェリストとして活動。

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