組織づくり・人材育成

“ダッシュボード時代”の到来――今、広告営業には何が必要なのか

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デジタル広告はターゲティング、マルチデバイスでの訴求等に強みを発揮する一方、その効果的なリーチに必要なデータも複雑化している。これは、広告主と広告掲載面の営業担当者との関係にどのような変化をもたらしているのだろうか。2017年5月、Yahoo! JAPANは「データドリブン×営業」をテーマに社内セミナーを実施。そこに登壇したアタラ合同会社CEO杉原氏は、広告主や広告代理店のデータ活用が進むなか、プラットフォームの広告営業担当者が置かれている局面と、それをいかに打開するかについて提言した。

生活者データの断片化と複雑化する広告運用

近年、スマートフォンの普及やメディアの多様化によって、生活者の行動は複雑化してきており、このような生活者にどうやってリーチするかがマーケターの共通課題になっている。

「10年前であれば、ヤフーとグーグルに広告出稿することだけを考えればよかったので気合と手作業で対応できましたが、現在はとても気合で対応できるレベルではなくなってきています」(杉原氏)

今や広告主や広告代理店は、断片化した生活者のデータにリーチするために、無数のツールを扱わなければならず、さまざまな定義の指標を追い、集計方法の異なる数多くのレポートを確認しなければならない。その結果、何が起きるかというと、会議の大半が指標やデータの読み解きに費やされてしまい、インサイトの発見や意思決定に割く時間がなくなってしまったのだという。杉原氏は、データや指標の読み解きに会議の時間を割くのではなく、しっかりと課題を話し合う時間を持たなければならないと指摘した。

ダッシュボード時代の到来

杉原氏いわく、今は“ダッシュボードの時代”だという。広告主も広告代理店も、複数メディアのデータが統合されたダッシュボードを活用することで、広告の運用状況を即座に分析して改善策を練られるようになり、また、経営層もリアルタイムに売り上げを把握できるようになった。さらには、社内のデータを外部関係者にも共有・展開していく“データの民主化”も進んでいる。

上記テキストのイメージ図

杉原氏講演資料を参考に作図

このように、広告主や広告代理店のデータ活用環境は向上しているのだが、一方で、「この座組みのなかに、“プラットフォーム営業(デジタル広告掲載面の営業担当)”は参加できていない」と、課題を指摘した。

ダッシュボード時代の到来によって、広告主や広告代理店のデータ活用が進んでいるからこそ、プラットフォームの営業担当者はどうやって広告主や広告代理店の役に立てるのかを考え、この状況を打破しなければならない。そのためには、データの力を得た広告主、広告代理店と同等以上のスピード、レベルでデータを活用し、必要なアクションを進言しなければならないと杉原氏は語る。

求められるバランス感覚

一般的に、広告営業の担当者といえば、広告主のビジネスを誰よりも理解し、KPIを定義し、アクションに落とし込み、ゴール達成まで伴走できなければならないとされている。

たとえば、EC事業のKGIを分解すると、売上=トラフィック×コンバージョン率×平均注文額であるように、広告主の事業がどのように構成されているかを考える。その際、ビジネスを上流から理解して、フォーカスポイントをどこに定めるかも考える必要がある(ただし、当然のことながら、上場前提の企業、新規会員数とLTV重視の企業、などでそれぞれKPIは異なる)。このようにビジネス理解力とKPI設計力が、広告営業の担当者には求められる。

ただ、上記はあくまで広告代理店等の営業担当者の話であって、プラットフォーム側の営業担当者は、さらに深く考えなければならないと杉原氏は語る。なぜなら、メディアを運営する立場である以上、広告主のビジネスゴールとともに、自社のビジネスゴールもバランスよく満たせなければならないからだ。

ヤフーを例に見てみる。ヤフーの広告事業のひとつである検索連動型広告の構成要素は、RPS(検索1回あたりの収益性)をクリック単価、カバレッジやデプス、広告クリック率という指標に因数分解できる。これらは単なる経営指標ではなく、プラットフォームの営業担当者としても意識していかなければならない数値だ。

プラットフォームの営業担当者は広告主のKPIを追うだけでなく、自社のこのような数値を踏まえてビジネスを考える必要がある。広告主のビジネスゴールとプラットフォームのビジネスゴールの両方を満たすバランス感覚が重要だと杉原氏は説いた。

上述したヤフーとEC事業者のビジネス構成要素のイメージ図

杉原氏講演資料を参考に作図

そして最後に「プラットフォームの営業担当者は、疑う目を持とう」と、杉原氏は呼びかけた。「果たして広告主がKPIを適切に設定できているのか、KPIを持ったはいいが、アクションまで落とし込めていないのではないか――。広告主や広告代理店に信頼されるプラットフォーム営業になるには、広告主と自社のビジネスゴールに向けて、『疑う目』を持つことが重要である」と講演を締めくくった。

プロフィール

アタラ合同会社 CEO 杉原 剛氏

KDDI、インテルで営業、マーケティングを経験した後、オーバーチュア、グーグルでの両検索エンジンの広告事業の戦略立案に携わった後、現職。Web APIを活用した各種システム開発、マーケティングとITを融合した各種コンサルティングを行う。

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