マーケティング戦略

なぜサードパーティデータは、顧客の離反防止や広告効果向上に効かないのか?

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もし、自社に顧客離れと利益率に関する問題があるならば、デジタル広告キャンペーンの対象を設定する際に、サードパーティデータ(第三者によって集められた過去のデータ)に頼りすぎていることが原因かもしれません。

確かに、メール施策や広告キャンペーンの目的が新規顧客の獲得であれば、サードパーティデータは必要かもしれません。しかし多くの業界において、新規顧客によって利益を出すには2年から3年はかかるため、CPAはかなり割高になります。たとえば、保険会社では新規顧客の獲得に1人当たり500ドル程度費やします(*1)。

リピート客が新規顧客よりもお金を使うということは、よく知られた事実です。2015年の第4四半期においては、アメリカのEC市場全体のセッション数の48%がリピート客の購入によるもので、その売上額は約604億円にのぼっています。これは新規顧客が同時期に支出した額の約2倍に相当します(*2)。

顧客維持のためのマーケティング施策は、間違いなく価値のある投資です。しかし、新規顧客向けのターゲティング戦略は、既存顧客へのリーチや既存顧客を維持することには適用できません。つまり、サードパーティデータを利用しても、顧客離れは防げないのです。詳しくはこれからお話します。

サードパーティデータは広く使えるが、既存顧客に対しては不十分である

サードパーティデータを使った大規模な広告配信は、自社の商品に興味を持ちそうな年代に差し掛かっている人や、完全に新しいターゲット層を獲得したい場合には効果的といえます。

しかし、優良顧客を育成する場合は違います。顧客のエンゲージメントの度合いが高ければ高いほど、より的確なメッセージを届ける必要があります。サードパーティデータは、商品を「買ってくれるかもしれない」人を予測するときは役に立ちますが、顧客がこれまでにどの商品を買ったか、どのサービスを利用したかについてはわかりません。

もっといえば、最近カスタマーサービスに苦情を入れたことやウェブサイトに好意的なコメントを残してくれたことなども明らかにできません。それゆえ、サードパーティデータそれ自体では、顧客が商品やサービスに対して感情的な結びつきを深めるような体験は提供できないのです。つまり、サードパーティデータだけでは、顧客との関係を深めるのには不十分といえるのです。

サードパーティデータにボリュームはあっても、正確性や効率性はない

サードパーティデータを提供する事業者は、そのデータで実際にリーチできるオーディエンスの規模を誇張して、「7000以上の属性が紐づいた、1億6000万以上の匿名化された顧客プロフィール」というような、人を驚かせるような統計値を引き合いに出すことが好きです。

しかし現実は違います。ほとんどのデータは古く、正確ではないのです。その理由は以下です。

たとえばある男性が新しい家庭用ゲーム機についてのコンテンツを見たとしましょう。某DMPに有償で取りこまれた匿名Cookieによって、今後3カ月その彼は「ミレニアル世代の男性のゲームプレーヤー」として存在することになります。そしてそのCookieと関連付けられたデータは、複数の企業間で順番にさまざまな予測モデルに使われ、「家庭用ゲームのプレーヤー」や「家庭用ゲーム機に興味がある人」、「ビデオゲームファン」という属性で改めて販売されます。同じ人物のデータが、複数の事業者もしくは別々のパソコンや携帯のリストによって複数の見出しを付けられて取引される可能性があるのです。はじめに男性の行動で紐づけられた区分は失われてしまい、その男性が自社や自社ブランドに本当にどの程度興味があるのか、といった情報は分からなくなってしまうわけです。広告主側が知らないだけで、もしかするとその男性は既存顧客かもしれません。結果として、サードパーティデータを使うことで広告効果が非効率なものになってしまいます。

どのくらい非効率なのか?
競合他社が購入しているのと同じ消費者のデータを、広告主が市場の適正価格で買っていたとしても、同じ人のデータを3回以上繰り返し買っている可能性もあるのです。また、それらのデータは同じ事業者に属するものなので、広告主側は競合に対抗するための新しい方法を探すことになります。一方で、自社データを活用することは、競合に対して比べられないほどの知識と取引における優位性を与えてくれます。

どのくらい不正確なのか?
ここで、Google (DoubleClick)(*3) やOracle (BlueKai)(*4)などのリンクを使って、自分のパソコンに設定されている広告ターゲティングのCookieを見てみましょう。ある友人のノートパソコンでは、彼は6歳から10歳の年齢の子供がいると判定され、彼も奥さんも驚いています。また、彼がチポトレというメキシコ料理のファストフード店で食事をしたという情報だけで、スペイン語を話すと認識されています。彼はブルーカラーと判定されましたが、実際には認可を受けた土木技師です。さらには、彼はしきりに否定していましたが、出会い系サイトに興味をもっているとも判定されました。

サードパーティデータにはたくさんの属性が紐づいているが、最も必要なものが欠けている

サードパーティデータのベンダーは、顧客をより正確にターゲティングする能力があると宣伝するために、たとえば顧客がどこを訪れたのかということから、顧客の健康状態や収入に関することなど、知識の幅広さや深度を持ち出します。しかし、サードパーティデータは以下のようなROASに大きなインパクトを与える顧客情報を明らかにすることはできません。

  • その顧客の興味がどのくらい新しく、どのくらい強いのか
  • 高い価値をもたらす顧客かどうか
  • どの商品を、いつ、どのように購入したのか

最終的に自社データこそが、よりよい顧客体験を創出できる

自社データは、顧客が提供してくれている誕生日情報から、実店舗での購買行動、オンラインでの購買、ロイヤルティープログラムへの加入状況、サービスやサポートセンターへのコンタクト情報などの行動履歴まですべて参照します。自社データを使って顧客をリアルタイムに認識することができれば、もっと良い顧客体験を生み出すことができるのです。サードパーティデータの欠点とは対象的に、自社データでは以下のことが可能です。

  • 時間とチャネルをまたいで顧客を把握することで、顧客と単なる取引のレベルを超えて、競合他社の入る余地のない関係性を構築できる
  • コンテンツの消費、商品の購買、サービスへのコンタクト情報、プロモーションへの反応など、顧客との接点のすべてに基づいて、顧客を評価することができる。これにより、顧客に対してより適切なメッセージを発信し、顧客の興味関心に合わせたサービスを提供することができる
  • 顧客にサービス品を提供したり、商品レビューを依頼したりする場合、また休眠していた顧客にアプローチする場合に、適切なタイミングかどうかを知ることができる
  • 自社にとって最も価値の高い顧客の特徴を正確に理解することができ、またそのような顧客をさらに見つけることができる

既に多くの企業は広告ターゲティングに自社データを活用するための基本的なツールは導入済みです。
自社データを利用しない手はないのです。

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