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【解説】MR(Mixed Reality)

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MR(Mixed Reality:複合現実)とは、現実空間とCGなどを活用した仮想空間を組み合わせ、現実世界と仮想世界が同時に存在し、影響しあう空間を生み出すこと、また、そのような空間を構築するための技術全般を指す言葉だ。

MRに近い概念として、「Pokémon GO」のヒットで広く一般に知られることになったAR(Augmented Reality:拡張現実)がある。これは、スマートフォンやヘッドマウントディスプレー(HMD)などを通して現実世界を見ると、仮想世界のキャラクター、あるいは現実世界の建築物に関する情報が現れるといったものである。

MRは、このARを一歩進めた考えであり、HMDを通じて現実世界を見ると、現実世界にあるモノの中に、それと同等の機能や動きを示す仮想世界のモノが現れ、2つの世界が相まって見える。たとえば、現実の地面の上に仮想のサッカーボールが出現すると、私たちはその仮想のサッカーボールを蹴ることができる。そして、そのボールは現実世界にある壁に当たり、また自分のところに跳ね返ってくる、といった具合だ。

進むMRの実用化

現在、このMR技術で注目を集めているのが、マイクロソフトである。

同社が開発した「HoloLens」(*1)は、HMD型のコンピューターで、このレンズを通して現実の風景を眺めると、コンピューターが生成した3Dホログラムの仮想物体が出現し、その仮想物体を取り扱うことができるようになる。

現在は、主に開発者向けや業務用に販売されているが、コンシューマー向けの製品についても、すでにデモ動画が発表されており、近い将来、登場が期待されている。

出典:Microsoft HoloLens

また、米国のGoogleなど名だたる大企業から巨額の資金を集め話題となった(*2)、米国フロリダにあるマジックリープ(magicleap)社(*3)も同様の技術を発表しているが、製品化はまだである。

一方、日本のキヤノンは「MREAL」(*4)という、ものづくりの現場に生かせる業務用のMR製品を発表し、販売している。

このようにMR技術が発展し、実際に製品化されることに伴い、さまざまな分野でその活用領域が広がってきている。

たとえば、自動車メーカーをはじめとする製造業の設計・製造部門では、いわゆるフロント・ローディング(製造の後工程を極力、前倒しにすること)の一環として、デザインデータや設計データを実物大の3D映像で確認し、試作回数の削減を図っている。

また、航空会社ではパイロットや整備士の訓練に活用しており、MR技術を用いることで自宅でも訓練ができるという。さらに、建設・建築業界では、実物大の3Dホログラムの建築物を作り上げることで、建物内の使い勝手や人の動線を、建設前に確認することが可能となるだろう。

このほか、教育・研究の場でもMRは有効だ。人体の仕組みを学ぶ医療の授業にMRを使えば、学生はあらゆる角度から人体モデルを観察でき、相応の教育効果が期待できるだろう。また、航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所の科学者たちはすでに火星探知機の画像ホログラムを使用して、火星の表面を歩いているかのような状態で火星を調査している(*5)。

同様に医療の現場では、CTスキャンなどの医療用画像を3Dモデルに変換し、外科医は3Dホログラムを用いて複雑な手術の計画を立てることができるという。

マーケティング、プリセールスの分野にも広がるMR活用

最近ではマーケティングやプリセールスの活動においても、MRは有効な手法として、注目が集まっている。事実、2017年7月より野村不動産とプライムクロスは、新築マンションの販売にマイクロソフトの「HoloLens」を活用し、マンションギャラリー来場者に、より建物の全体をイメージさせやすくしている(*6)。

そのほかにも、リフォーム会社ではリフォーム後の顧客の自宅をさまざまなパターンで提案することができ、また家具メーカーでは家具を顧客の自宅に配置した様子をMRで再現し、見栄えのみならず、機能性までも確認させることができる。さらに、自動車販売店では、実車がなくとも、車両の色合いや機能を、よりリアルに体験させることが可能だ。

このように、MR技術の用途はすでに広範にわたっており、特に企業における活用は今後も大きな進展が期待できるといえる。

【参考記事】
VRとARの新たな局面――仮想と現実をつなぐデータ活用とは
バーチャルリアリティ(VR)の市場構造――急騰するVR市場を追う(1)

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