マーケティング戦略

顧客に嫌われる3つの方法

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はじめに、商品を買ってくれそうな見込み客を見つけた状況を思い浮かべてみてください。ぜひ新規顧客として獲得したいと考えたときに、あなたはどうするでしょうか。

きっといろいろな手を考えて、その人が逃げてしまわないような形で近づこうとするでしょう。何度かメッセージを送ってアプローチし、必要とされているであろう情報を提供し、さらに商品のレコメンドまで行ったとしましょう。

その結果、その見込み客はついに「購入ボタン」をクリックしました。そこであなたはこう思うでしょう。「よし、これで1コンバージョンゲット! KPIも達成して四半期のレポートも完璧だ!」と。

しかし、それは成功といえるのでしょうか?

顧客が商品を購入したからといって、カスタマージャーニーが終わるわけではありません。むしろそこから顧客との関係が始まるのです。顧客とどのような関係を築けるかは、最初のコンバージョン後に顧客に対してどのようなアプローチをするかで決まります。しかし多くの場合、その対応は不十分なのです。時にマーケターはその関係を保持する努力を意図的に放置しているようにも見えます。これはまるで映画『10日間で男を上手にフル方法』(*1)のケイト・ハドソンのようですが、実際のところ今日のマーケティングでは、ひとたび顧客との関係性を保つ努力を怠ってしまったら終わりです。

ではここで、先ほどの顧客がコンバージョンに至った時のデータについて考えてみましょう。

コンバージョン時のデータをみれば、顧客の興味関心は明らかになります。この段階で、マーケターは行動を起こさなくてはなりません。顧客のIDを元にしたソリューションは、関係性をより深めることが可能だからです(*2)。CRMやPOSデータ、コールセンターなどのオフラインデータと顧客のデジタルデータを継続的に紐づけていけば、資産となる永続的な顧客IDを構築できます。このことにより、各顧客との関係性に応じた最適なアプローチが見えるようになるので、顧客のエンゲージメントを向上させ、ブランドロイヤルティーを醸成できるのです。

しかし、現実的には多くのマーケターが顧客との関係性を構築するための準備ができていません。多くの企業はまだ顧客ではないユーザーを追いかけ、最初のコンバージョンを獲得することだけにご執心のようです。Signalの調査(*3)によると、75%近くのマーケティング統括者は、自社の顧客維持率、顧客生涯価値、ネットプロモータースコア (NPS)(*4)の低さに不満をいだきながらも、いまだに最優先事項は新規顧客の獲得だと主張しています。その結果、既存顧客1人あたりの収益性を引き上げるのに比べ多大にコストがかかる新規顧客の獲得に、たくさんの資金を投下し続けてしまうのです。

もし、あなたが顧客との中長期的な関係性など考えず、二度と同じ顧客に来てもらいたくないのであれば、次のような方法があります。

1. 顧客の役に立つ情報は送らない

スマートデバイスが多く普及した今日において、カスタマージャーニーはシンプルな直線で表されるものではなく、循環的なものだといえます。顧客に高付加価値を提供するような関係性を構築したい企業は、最初のコンバージョンをきっかけに、全てのチャネルと配信ポイントを横断する1to1のマーケティングをシームレスに実現することから始めています。

化粧品ブランドを例に考えてみましょう。ある女性が新しい化粧品をオンラインで購入したとします。そこから彼女は、最新情報を受け取ることができたり、会員登録を促されるSMSが配信されたりと、カスタマイズされた顧客体験ができるようになります。これは、企業にとってみれば、単に情報を提供するだけではなく、その顧客のエンゲージメントを向上させるための新しい機会が開かれたということです。つまり、購入されたものに応じて新たな商品を勧めたり、お買い得情報やメイクアップレッスンのコンテンツを提供したりすることで、単なる商品の購買に終わらせず、顧客をワクワクさせることができるのです。

さらに、同じ顧客が実店舗で商品を購入する場合、美容部員がその新商品の使い方をオンラインで指導したり、自分がメイクアップした姿を見ることができるアプリのインストールを促したりといったこともできます。

もし長期的で収益性の高い顧客との関係性を望んでいないならば、新規顧客が商品を購入した際、もう一度購入を考えることがないように、有益で便利な体験は提供してはいけません。

2. 顧客を部外者のように扱う

次に、顧客との関係をぶち壊す方法をみてみましょう。たとえば、商品を購入した人は、その企業から発信される情報を受け入れやすくなっています。提供されるのが、この顧客の購買パターンにもとづいた内容だったり、好みにあったイベントやセール情報だったりすればなおさらです。

しかし、この顧客に愛着を持ってもらいたくないのであれば、とりあえず無関係なメッセージを手当たり次第に送りつけましょう。顧客のIDをもとにした継続的なマーケティングを実施しないなら、これはとても簡単なことです。この顧客をこの先永遠に失うための最も簡単な方法は、すでに購入された商品の広告を配信し続けることです。数週間か長くとも数カ月間これを続ければ、間違いなく迷惑がられます。もしくは、それと同じくらいこの消費者をイラつかせるような、まったくパーソナライズされていない情報を送り続けましょう。

3. 顧客を絶え間なくイラつかせる

顧客との良い関係を築くためのポイントの1つは、引きのタイミングを見極めることです。たとえば、顧客がオンラインになったとしてもしつこくメッセージを送って追いかけてはいけないのです。これは現実の世界でしばしば起こっており、世界中で62%の消費者が、2020年までに販売員の助けがなくとも、自分たちが探している商品を見つけられるようになりたいと思っていることからもわかります(*5)。

しかし、この未来像は、マーケティング担当者がオンラインとオフラインのデータを結びつけて実店舗をよりシンプルで便利にできれば、実現可能です。実店舗の商品がウェブサイトでの閲覧パターンをもとに陳列されていれば、消費者は簡単に商品を見たり試したりすることができ、アプリに保存されたお気に入り商品の情報と実店舗のフロアマップが組み合わされれば、欲しいものを簡単に探せるようになります。ただし、1回だけ購買してもらえばよいという企業は、こういった取り組みをするべきではありません。

さて、これまでいろいろ皮肉を述べてきましたが、結論は以下のとおりです。

顧客は興味のないものには見向きもしません。だからこそ顧客を獲得し、維持していくのは簡単なことではありません。初回購入の顧客を獲得することはカスタマージャーニーにおける大きな一歩ですが、それはこれから続く、長期的な関係性を構築する第一歩でもあります。つまり商品が購入された後の戦略こそが重要なのです。もし初回購入後の顧客体験が考慮されていないのであれば、そのコンバージョンは最初で最後のものになりかねないでしょう。

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