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<3分で読める>金融業界のAI活用最前線

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企業が発表した決算報告書を基に文章を作成する日本経済新聞社のAI記者や、人間の声を認識して質問や依頼に応えるAIスピーカー、中国で医師国家試験に合格したiFLYTEK社のAIロボットなど、2017年も注目されたAI(人工知能)。

SFの世界をほうふつとさせる活躍が取り上げられがちなAIですが、その高度な分析能力を生かし、ビジネスの現場での活用も進んでいます。特に、金融業界はその傾向が顕著だといえるでしょう。

証券会社や信託銀行では、動向が読めない景気状況や、長引くマイナス金利政策の影響をうけて、効率的な資産運用を行うためにAIを活用する機運が高まっています。一方、保険サービスの世界では、新たなサービスやビジネスの開発を行うために、AIを活用する動きが活発になっています。金融業界の活用事例を通して、ビジネスにおけるAIと人間の関わり方とさらなる可能性について考えていきます。

AIを活用し、景気や投資先を判断

AIの特徴は、人間のように思い込みや個人的な感情に左右されることなく、客観的なデータだけを材料として状況を判断できる点にあります。そして、こうした客観的な判断が最も必要とされるのが金融業界であり、この特徴を生かしてAIを業務に適用している企業の1つが、野村證券株式会社です。

野村證券では、日本銀行や政府が公表する資料をAIに読み解かせることで、独自に景況感を分析、指数化することに成功しています。思い込みや主観によるバイアスがかからない分析を行うことで、理論的な分析精度は人間よりも高くなります。ただ同社は、あくまでAIを「人間業務をサポートする存在」という位置付けで活用しています。

「人間の仕事がAIに奪われる」というリスクも叫ばれるなか、同じくAIを活用した景気動向の判断や、投資最適化に取り組んでいるのが三菱UFJ信託銀行です。同行はAIの活用を進めるにあたって、人間との共存の可能性や仕事の切り分けについても探っています。

AIを活用したファンドを提供している同行は、投資判断をAIに一任し、人間は「顧客との関係作り」に注力するという形で、業務のバランスを最適化しています。

新たなビジネスの創出にもAIが活躍

人間が行ってきた業務を代替させるだけでなく、新たなサービスやビジネスの創出のためにAIを活用する企業もあります。こうした事例が多い保険サービスの業界から、代表的な2つの企業の取り組みをご紹介します。

もともと保険業のビジネスモデルは、企業としての利益と、契約者である顧客の求めるサービスのレベルを考慮し、両者にとってWin-Winの関係を築くという非常に高度なものです。しかし、少子高齢化や人口減少の可能性など、人口バランスが取れていない昨今、これまでと同じサービス内容では、企業にとっても顧客にとっても、Win-Winになれるとは限りません。

こうした状況をうけて、保険ビジネスの可能性をひろげるために「ヘルスケア」「保険の引き受け」「マーケティング」という3つの領域でAIを活用しているのが、第一生命保険株式会社です。

また、保険のビジネスモデルそのものの変化を意識し、将来の保険サービスのあり方について考えるべく立ち上がったのがSOMPOホールディングス株式会社です。同社は、保険業におけるITサービスの可能性について企画・検証する研究機関「SOMPO Digital Lab」を立ち上げ、AIなどのテクノロジーを活用して新たなビジネスの開発に取り組んでいます。

AIのテクノロジーはまだ開発途上

人間の業務のサポートや業務の代替としての役割、新たなサービスやビジネス創出のための存在として、金融業界ではひろくAIが活用されていることがお分かりいただけたと思います。最後に、なぜAIが優れた投資判断や人間のサポートができるのか、基本的な知識について触れておきましょう。

人間が経験則によって判断を行うように、機械がある命題を自動的に判断できるようにするコンピュータ・プログラムの手法を「機械学習」と呼びます。ただ、一口に機械学習といっても、そのアルゴリズムは「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」という3つに大別されており、最も注目されているのが「強化学習」というアルゴリズムです。強化学習のアルゴリズムは、米グーグルが開発した最強囲碁AI「AlphaGO(アルファ碁)」にも適用されたことで注目されました。詳しくはこちらの記事で解説しています。

ただし、強化学習アルゴリズムを採用すれば、AIの能力が勝手に向上するわけではありません。株式会社FRONTEOは、「過度なAIへの期待は禁物」として、AIをどのように活用すれば成果が得られるのか、正しく知る必要があるといいます。同社の語るAIの有効な活用法については次の記事で説明しています。

今回は、金融業界の取り組みを中心に、現場の業務におけるAIの活用について解説しました。今後、AIはさまざまな業界や業種のなかで取り入れられていくことでしょう。Insight for Dでは引き続き、こうしたAIの活用トレンドについて有用な情報を取り上げていく予定です。

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