コンテンツマーケティング

ANAがBuzzFeedで実現した「データ×コンテンツ」マーケティング

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スポンサードコンテンツを中心に、マネタイズに取り組むBuzzFeed Japan株式会社(以下、BuzzFeed Japan)。同社については前回、代表取締役社長を務める上野正博氏にコンテンツ制作の特徴や収益源となる広告ビジネスの現状を語ってもらったが、今回は、同社が展開するスポンサードコンテンツの価値を実例から探っていく。

2017年、BuzzFeed Japanにて全4本のスポンサードコンテンツを出稿した全日本空輸株式会社(以下、ANA)のマーケティング室 マーケットコミュニケーション部の永山裕氏、同部・平口晶子氏に話を聞いた。

40~50代中心の会員を、どう20~30代へ変えるか

2017年末、ANAは同社のクレジットカード『ANAカード』のプロモーションを目的として、BuzzFeed Japanのスポンサードコンテンツを活用した施策を行った。スポンサードコンテンツとは、クライアント側が伝えたいメッセージをメディア側が主導して記事化するタイプのネイティブ広告だ。この取り組みにいたった背景を永山氏は次のように話す。

「ANAカードの普及を促進するために、われわれは2015年頃から本格的にデジタルマーケティングに注力しており、リターゲティング広告などを使って順調に申込数を伸ばしてきました。しかし、従来通りの広告施策では解決できない1つの課題が浮上したのです」(永山氏)


全日本空輸株式会社 マーケティング室 マーケットコミュニケーション部 永山裕氏

その課題に気付いたのは、2016年10月に同社のロイヤル顧客向けマーケティングをけん引してきた部署が、ANA X 株式会社(*1)へと分社化したことがきっかけだと平口氏は話す。

「本社側のマーケティング部門であるわれわれとしても、社内のデータベースに蓄積していた会員データをあらためて分析することにしました。すると、ANAカード会員の年齢層が40~50代に極端に偏っていることがわかったのです。5年後、10年後を見据えると、既存のコア層のほかに若年層の会員が当然必要になります。そこで、20~30代をターゲットとするプロモーションへと、2017年から施策全体を切り替えていきました」(平口氏)


全日本空輸株式会社 マーケティング室 マーケットコミュニケーション部 平口晶子氏

新たなターゲット層に訴求していく方向にかじを切ることとなったが、従来通りの施策では克服できない課題があった。

「リターゲティング広告は新たな潜在層へのアプローチとしては向いていませんし、従来のバナー広告以外にも新たな手法はないかと解決策を模索していました。そんな時にご提案いただいたのが、今回の施策だったんです」(永山氏)

単発施策で終わらせないためのDMP活用

ANAがBuzzFeed Japanのスポンサードコンテンツに出稿した理由は、単に若年層狙いということだけではない。ポイントは、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)のビッグデータを用いるためにYahoo! DMPの活用をセットにしている点にある。

記事コンテンツに誘導するための広告にYahoo! DMPを活用することで、趣味嗜好(しこう)も含めた緻密なターゲティング配信が可能になったほか、記事コンテンツに接触した潜在層のその後の行動が追えるようになったため、施策効果を捉えやすくなった。また記事コンテンツの制作段階においても、Yahoo! DMPに蓄積している過去にコンバージョンしたANAカードのユーザーの事前分析を行い、そこにBuzzFeed Japanの制作ノウハウをかけ合わせることで、よりターゲット層のインサイトを捉えた記事を展開できた。

「今回、Yahoo! DMPを活用できるということで実施に踏み切りました。『誰を対象にするのか』から『どうアプローチするか』、そして『どんな記事内容にするか』といった内容の検討、さらに実施後の効果検証まで、データにもとづいて施策の一連の流れを設計できることに、大きな意味があると思ったからです」(永山氏)

具体的には、主に2つの面での期待があった。

「まず、『手法を変えることでアプローチが可能となる新たな層がいるのではないか』という仮説を検証したかったということ。そしてもう1つは、『スポンサードコンテンツに接触した方に今後もアプローチできるようにしたい』ということです。記事を出して、それで終わりというのではなく、Yahoo! DMPを活用することで、興味関心があると思われる潜在層のデータをアセットにできるのは非常に意味のあることだと思います。BuzzFeed Japanという新たなタッチポイントで最適なコンテンツを展開すれば、これらが実現できると考えました」(永山氏)

データ活用で広がる施策の可能性

クレジットカードを申し込む意思決定のタイミングは、人によって異なり、一度のキャンペーンで誘引できるのは顕在化している層だけだ。だからこそ、単発の施策では終わらせず、今回の施策で得たデータを活用してリードナーチャリングできるようになった意義は大きい。

「われわれだけで手に入れられるデータは、ANAのサービス内のものにすぎません。そこに、ヤフーが持つ多種多様のデータを重ね合わせることで、マーケティング戦略のPDCAサイクルを継続的に回していけるはずです」(永山氏)

取材風景の写真

施策を経て永山氏は、今回得たデータを活用して、スポンサードコンテンツを継続的に展開していくことを検討している。

「今回の取り組みを単発のものとせず、シリーズ化していきたいと考えています。クレジットカードをつくりたいと思う時期は人によってそれぞれですので、潜在層の1人ひとりがカード会員に加入したいと思った瞬間にすぐアプローチできる体制にしていければと考えています。ANAカードに限らず、航空券のプロモーションチームにも今回の取り組み内容を横展開できましたし、データを活用してどのような施策ができるかを探っていきます」(永山氏)

平口氏は、スポンサードコンテンツ施策の新たな可能性にも気付いたという。

「ANAカードには、航空会社ならではの会員特典があります。しかし、そのメリットを人々が具体的にイメージできるところまでは、伝えきれていない面もあったと思います。今回いただいた提案を通して、コンテンツという形であればうまくメッセージが届けられるという手ごたえを感じました。今後も異なる視点から新たな手法を学び、積極的に試していきたいと思います」(平口氏)

ANAカードのようなクレジット会員の獲得においては、リードタイムが長いケースも多い。スポンサードコンテンツによる対象へのアプローチは、潜在層の態度変容を促すための手法として有効だが、一度展開するだけでは効果を実感できないこともある。コンテンツによって得られた価値あるリードに対しては、データを活用しながら継続的にアプローチする。それが「顧客」という資産を生み出すことになるのだ。

注釈:
(*1)ANA X 株式会社 (外部サイト)

プロフィール

全日本空輸株式会社 マーケティング室 マーケットコミュニケーション部 平口 晶子氏

2004年全日本空輸株式会社入社。マーケティング&セールス部門に配属後、経済団体へ出向。2013年にスペインのIE Business SchoolにてMBA取得後、経営管理部門を経て2017年10月より現職。顧客マーケティングを中心とした戦略立案から実践まで幅広く担当する。

全日本空輸株式会社 マーケティング室 マーケットコミュニケーション部 永山 裕氏

2007年全日空システム企画(現ANAシステムズ)に入社し、CRMシステム部に配属。 ANA SKY WEB / World Wide Site のWEBシステムやコンテンツ開発などを担当。2015年4月より現職。自社サイトの企画・管理、プラットフォーム構築をはじめとしたデジタルマーケティング全般を担当。

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