マーケティング戦略

化粧品マーケティングのダッシュボード【前編】ブランド価値を可視化する

記事内容の要約

  • 美容業界最大の総合サイト@cosmeのデータを活用した、化粧品ブランド向けのマーケティング支援サービス「ブランドオフィシャル」が今年4月にスタート
  • ブランドオフィシャルは、トレンドがめまぐるしく変化し、化粧品市場において、メーカーが発信する商品情報を効果的に消費者に届けられるよう開発された
  • ブランドオフィシャルを利用する化粧品メーカーは、自社商品に関するコンテンツへのユーザーの反応をとらえ、潜在顧客層の発掘や顧客との関係性強化を図っている
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日本最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」。同サイトを運営する株式会社アイスタイルが、そのデータベースを活用し、化粧品メーカーやブランドとユーザーをつなぐためのプラットフォームサービス「ブランドオフィシャル」を2018年4月にスタートした。化粧品メーカーのマーケティング支援に特化したブランドオフィシャルは、どのような価値を生み出しているのか。開発・マーケティング担当者に話を聞いた。

化粧品メーカーが抱える課題

化粧品の評判やメイクアップのトレンド、スキンケア方法など美容に関するさまざまな情報が集まる、日本最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」。同サイトを運営する株式会社アイスタイルは、「ビューティー × IT」をキーワードに、メディアやECサイト、広告サービス、リアルショップなど、幅広く事業を展開している。それに加えて、同社のデータベースに集まる口コミのデータや購買データを生かして、化粧品メーカーの商品開発やマーケティング活動を支援するためのソリューションの展開も行っている。

2018年4月、同社は化粧品マーケティングのためのダッシュボードともいえる「ブランドオフィシャル」をリリースした。このサービスが生まれた背景について、開発をリードしているBIDサービス本部BIDサービス開発部の田島有希子氏は次のように語る。

「今の世の中、多種多様な情報がインターネット上に流通し、その量は指数関数的に増えています。特に化粧品に関しては、企業が打つ広告の量やSNS上に流れる口コミの数が、他分野の商品に比べて多い傾向があります。そのため市場に多くの化粧品が出回っているなかで、自社の商品情報を届けたい消費者にしっかり届け続けることは年々難しくなっています。これは、化粧品メーカー共通の課題と考えています」(田島氏)


株式会社アイスタイル BIDサービス本部BIDサービス開発部 田島有希子氏

田島氏が語る時代の変化による影響は、顧客アプローチの領域だけに限らない。消費者の関心を捉えづらくなったことに加えて、トレンド変化のスピードも速くなった。そのため、自社商品のニーズ、販売ポテンシャルがどの程度あるのか把握しづらくなり、結果として在庫管理のハードルまでも上がっている。

「ブランドとは、商品のモニタリングから販売店への導入、接客スタッフの教育など、さまざまなユーザー接点の蓄積によって構築されるものです。また、化粧品の販売チャネルは、ブランドにもよりますが、ドラッグストアや百貨店、ECモールなど多岐にわたって存在し、チャネルごとに顧客アプローチの手法も異なります。この複雑さが、化粧品のマーケティング活動を難しくしている一因でもあります。この業界特有の課題に加えて、時代の変化によって出てきた課題を、多くの化粧品メーカーは抱えています。これらの課題を解決するために、@cosmeに蓄積され続けているデータを生かせると考えて開発したのが、ブランドオフィシャルです」(田島氏)

ブランドオフィシャルで潜在顧客を捉える

@cosmeには、化粧品メーカーの各ブランドや小売店、美容のスペシャリストが発信するコンテンツだけでなく、ユーザーによって書き込まれた口コミや、ブログなどのコンテンツもある。つまり、ブランド側が発信する情報は一方通行になることなく、ユーザー側から発信された情報と交差する。そこで生み出されるデータの集合知には大きな価値があるのだ。

「ユーザーは、口コミもチェックする一方で、各ブランドの公式情報もチェックしています。ユーザーが『どの商品の情報を、いつ閲覧したか』『どの情報に対してLikeしたか』『どんなコンテンツや口コミに興味をもったのか』といった細かな行動データを含め、ユーザーから見たブランド価値を可視化したものが、ブランドオフィシャルなのです」(田島氏)

ブランドオフィシャルは、専用の管理画面にログインして利用する。

管理画面では、自社の商品に関するコンテンツが、どのくらいユーザーにチェックされて、どのくらい話題にされているかといった情報が確認できる。導入企業は、ゼロからオリジナルでコンテンツを作成するだけではなく、自社商品に触れてくれた口コミやブログ記事などを『○○さまにご紹介いただきました!』のようにシェア投稿して、他のユーザーに向けて情報発信することも可能だ。

一方で、ブランドが発信した情報は、タグを介して関心のありそうなユーザーに届けられるようにし、同時にブランド情報に接触してきたユーザーの数(UU)や属性が数値化される。この際のブランド情報は、公式で投稿したものだけでなく、ユーザーの口コミや@cosmeによる特集記事などの情報も含んでいるため、自社だけではリーチできなかったユーザーを知るきっかけとなる。その他、各情報への反応から“つながりの濃さ”の分析、日単位でつながったユーザー、購買の可能性があるユーザーなどを把握できる。

説明図
ブランドオフィシャルの主な使い方
出典:株式会社アイスタイル

「ブランドオフィシャルを使うと、たとえば『自社に接触しているユーザーは、コスパが高いコスメに興味を持つ傾向がある』といったことが分かるようになります。自社商品に関連する情報に少しでも接触したユーザーを、潜在的なお客さまだと捉えてマーケティング活動に取り組むことができるのです」(田島氏)

アイスタイル社は、ブランドオフィシャルを「プロモーション活動のためのツール」ではなく、「ユーザーと関係を構築し、売れ続けるための仕組みをつくるためのソリューション」だとしている。利用企業は、自社商品に関連するユーザーの行動や実態を拾うことができ、行動してくれたユーザーに向けてコミュニケーションすることで、よりユーザーとのつながりを深められる。また、多くのユーザーは、ひとつの化粧品ブランドにこだわるのではなく、複数のブランドを使い分けている。自社のブランドに興味のあるユーザーが、他にどのブランドや商品に注目しているかといった情報まで取得できるのは、コスメ・美容の総合サイトである@cosmeのデータベースがなせる業だろう。

市場の多様化によって、ブランドのマーケティング戦略は、ブランドイメージの構築、商品の企画開発からプロモーション、販売までのさまざまなシーンで重要視される。ブランドオフィシャルは、それらブランド全体の活動をユーザーの行動や声というデータを活用することで支援している。今年4月に提供が始まったばかりだが、すでに大手から新興ブランドまで幅広い登録があるという。

後編では、企業がユーザーの声と向き合うことの意義と、ブランドオフィシャルの展開を通じてアイスタイル社が気づいたユーザーインサイトについて話を聞く。

前編を読む | 後編を読む

プロフィール

株式会社アイスタイル BIDサービス本部BIDサービス開発部 田島 有希子氏

2007年入社。化粧品EC「@cosme shopping」の運営・MDを担当した後、取締役就任。その後、株式会社アイスタイルトレーディングで、貿易取引スキームを構築。メーカー事業会社の株式会社アイメイカーズにて、プライベートブランドのマーケティングに従事。現在、本記事掲載のブランドオフィシャルの開発やマーケティングを担当している。

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