マーケティング戦略

化粧品マーケティングのダッシュボード【後編】ユーザーが創出する価値とは

記事内容の要約

  • 化粧品メーカー向けマーケティング支援サービス「ブランドオフィシャル」によって可視化された、商材に対するユーザーの本音や反応は、企業のオウンドメディアやSNSの運営にも役立つ
  • メーカーとしては推奨しづらい化粧品の利用法や、想定外の使われ方がユーザー発で流行することもあり、そのような動向を察知することで商品開発やマーケティング活動に生かせる
  • 化粧品メーカーは、商品イメージだけでなく、商品開発者のこだわりなども発信することで、ブランドに対する信頼性を生み出せる
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コスメ・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営する株式会社アイスタイルが提供する、化粧品メーカー向けマーケティング支援サービス「ブランドオフィシャル」。自社の化粧品に対して、どんなユーザーがどのように反応しているかを可視化するサービスによって、企業はどのようなマーケティングを実践できるのか。また、ブランドオフィシャルを展開するアイスタイル社が気づいたユーザーインサイトとはどのようなものか。株式会社アイスタイル BIDサービス本部BIDサービス開発部の田島有希子氏に話を聞いた。

ユーザーの声や行動データは多方面に生かす

ブランドオフィシャルの導入企業は、@cosme(アットコスメ)のサイト内で公式情報を発信することができ、ユーザーに向けてコミュニケーションすることも可能だ。つまり、ブランドオフィシャルは、オウンドメディアやSNSアカウントを持たない企業にとってもユーザーと接する絶好の場になっている。

同サービスの開発をリードしている、株式会社アイスタイル BIDサービス本部BIDサービス開発部の田島有希子氏は言う。

「ブランドオフィシャルを使うと、自社ブランドに対するユーザーからの評価を客観的に見ることができます。そのため、ユーザーと接する手段を持っていない企業であっても、ユーザーのことを的確に捉えられるのです。もちろん、すでにオウンドメディアやSNSアカウントを持っている多くの企業にも、ブランドオフィシャルを活用いただいています。ユーザーが『どんなコンテンツをよく見て、何を求めているか』を可視化できるので、自社メディアやSNSの運営にも生かせます」


株式会社アイスタイル BIDサービス本部BIDサービス開発部 田島有希子氏

ブランドオフィシャルのサービス基本利用料はひと月あたり50万円。月間で1,600万UUをほこる@cosmeのデータベースを活用した情報発信やユーザー分析が可能になることや、ゼロから自社でメディアを構築する必要がなくランニングコストなどもかからないことを考えれば、メリットの大きい企業も多いだろう。

ユーザーとの距離を縮めるコミュニケーション

ブランドオフィシャルを活用することで、企業はユーザーとどのような関係性を構築できるのか。

「ユーザーの好みや求めているものを把握した上でアプローチできるようになるので、ユーザーにとって有益な情報を届けられるようになります。その情報は、利便性の高いもの、お得なものなどから、感情に訴えかけてくるものまでさまざまです。たとえば、自社の商品について口コミを投稿してくれたユーザーに対して、当該商品の特別な先行情報を発信してもよいですし、お礼メッセージを返すのもよいでしょう。『TwitterなどのSNSで企業アカウントからリアクションがあるとうれしい』という人がいますが、それと同じ効果があると思います」(田島氏)

また、化粧品をプロモーションするうえで重要なのが、ユーザーに商品の“正しい使い方”を理解してもらうことだ。正式な使い方ができていない場合や間違った使い方が口コミ等で広まると、本来の効果を実感してもらえずに商品の評価が低くなってしまう。商品のパッケージだけでは伝えきれない「商品の効果を最大限実感できる使い方」などの情報を、つながりのあるユーザーへ発信できることは大きなメリットだ。

今後は、ユーザーが購入に至るまでに閲覧したコンンテンツや口コミ情報を可視化する機能などを実装するなどして、カスタマージャーニー(購買プロセス)を描ける仕組みなどを提供していく予定だという。


ユーザーとのコミュニケーションが生まれるブランドオフィシャル

ユーザー発の流行を捉える

メイクアップは自己表現の手段の一つであることから、化粧品の使い方は、ユーザー個人のセンスや感性によって異なる。それゆえに、化粧品メーカーの想定していなかった使われ方で人気が出るケースや、他ブランドの化粧品と組み合わせて使われるケースなどがよく起きるという。

「そういった使い方は、メーカー側としては予想外であったり、推奨しづらかったりします。だからこそ、既成概念にとらわれない商品の利用法を発信するユーザーの口コミの動向などは、いち早く察知しておく必要があります。そうすれば、新商品の開発や今後のプロモーション活動にも生かすことができます。たとえば、@cosmeで人気のあるブランド発信記事に『やってはいけない使い方ガイド』があります。@cosmeは購入意思決定のためのサイトと思われがちですが、実は『使いこなし方』に関する口コミを求めて訪れるユーザーも多い。ブランドが公式に『推奨しない使い方』を説明することで、商品に対するユーザーの印象が変わるケースは多くあります」(田島氏)

最近は、化粧品の使い方や高度なメイクアップ技術を紹介するSNSでのアカウントが増えている。特に化粧品はユーザー一人ひとりがインフルエンサーとなりやすい商材であり、その動向が化粧品メーカーのマーケティング活動に大きな価値をもたらすこともある。

「コンテンツを発信するときは、ついPVやUUといった数字ばかりに目がいきがちです。でも、たとえPVやUUが少なくても、コンテンツの向こうには確かに感情を持つユーザーがいるのです。目先の定量的な実績だけに振り回されることなく、ブランドオフィシャルを通してユーザーの行動や感情と向き合っていただきたいと思っています」(田島氏)

ユーザーにブランドとしての思いを発信することの重要性

田島氏いわく、ブランドオフィシャルの展開を通じて、ひとつのユーザーインサイトが見えてきたという。それは、「ブランドの起源やストーリーとなるものを知りたい」という意識だ。

「化粧品メーカーは、テレビCMなどで商品のビジュアルイメージを積極的に発信しています。しかし、ブランドの背景やストーリー、たとえば商品自体へのこだわりや、開発した人の思いなどはあまり発信されていません。そこはメディア任せなところがある。そうではなく、自分たちが作った商品を、思いを持って届けていくというシンプルなことこそが、実はユーザーに届けるべき情報なのではないか、と考えています」(田島氏)

化粧品は肌に触れるもので、成分や作られた工程、開発者への信頼性が重要な商品だ。そこで安心や信頼を感じさせる情報をメーカーから発信し、ユーザーが受け取れるコミュニティが必要である。それを実現できるのがブランドオフィシャルというわけだ。

キャンペーン的な情報だけでなく、商品への愛情を感じさせるコンテンツを発信することの重要性は、化粧品のマーケティング活動に限った話ではない。インターネット上に多くの情報があふれる現況において、商品の付加価値をユーザーに伝える行為はあらゆる企業に求められる。

企業からの一方的なメッセージ発信が通用しなくなった今、メーカー側が伝えたいブランドのイメージと、ユーザーが受け取るイメージが一致するとは限らない。そのギャップをいかに理解し、パーソナライズした情報、商品を提供し、ユーザーの「買いたい気持ち」を作り続けることが企業のマーケティング活動には重要になるだろう。ブランドオフィシャルは、それらを実践する手段として今後も期待が高まる。

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プロフィール

株式会社アイスタイル BIDサービス本部BIDサービス開発部 田島 有希子氏

2007年入社。化粧品EC「@cosme shopping」の運営・MDを担当した後、取締役就任。その後、株式会社アイスタイルトレーディングで、貿易取引スキームを構築。メーカー事業会社の株式会社アイメイカーズにて、プライベートブランドのマーケティングに従事。現在、本記事掲載のブランドオフィシャルの開発やマーケティングを担当している。

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