Dの視点

【注目のひと】佐々木潔氏(ヤフー株式会社 チーフデータオフィサー)

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Insight for Dが注目する人物のパーソナリティーに迫る本企画。影響を受けた人物や書籍、過去の失敗、人生哲学などを10の質問から掘り下げます。

今回登場する「注目のひと」は、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)のチーフデータオフィサー(CDO)を務める佐々木潔氏です。UNIX系とWindows系の両OSの開発に携わった後、米国Yahoo! Inc.を経て、2009年からヤフーで広告プロダクトの技術マネジャーを務めてきた同氏。2017年4月からはCDOとして、ヤフーのデータビジネスを牽引しています。

「CDOとして、ヤフーへの貢献以上に、日本社会に貢献したい」と語る佐々木氏の横顔に迫ります。

Q1: 学生(子ども)の頃に打ち込んだことはなんですか?

大学では、部活に熱中していました。アメフト部に所属していて、ポジションはクォーターバック。4年生のときにはオフェンス側のチームリーダーを務めました。

アメフトをするために大学へ通っていた、といっても過言ではないです。プロの選手でもない限り、スポーツに打ち込めるのは大学時代が最後ですから。学生の本分はスポーツだと思っています(笑)。

Q2: ご自身の考え方や生き方に影響を与えた人や書物はありますか?

修士課程の頃に読んだ『闘うプログラマー ビル・ゲイツの野望を担った男達』(日経BP社)がきっかけでエンジニアを志すようになりました。デビット・カトラーという天才プラグラマーを中心としたWindows NTの開発物語で、「ソフトウェア、OSってすごいじゃん!」と衝撃を受けたことを覚えています。

新卒では富士通に入社したのですが、入社面接で「OSやりたいです」とアピールしたらマイクロソフトへ出向させてもらえて、Windowsの開発に携われました。まぁ、今思えばそもそもマイクロソフトを受ければよかったですね(笑)。


Q3: 大きな失敗の経験はありますか? それをどのように乗り越え、何を学びましたか?

あまり失敗を失敗だと思わないタイプなのですが、人間関係で悩むことはあります。

僕は、わがままな性格なんですよ。こうしたい!と思ったら、つい押し通したくなっちゃう。自分の主張にこだわった結果、うまくいかなかったことは多々あります。ただ、公私共にそういう経験したからこそ、この年齢になって「自分はそこまで優秀な人間じゃない」と考えるようになりました。ちゃんと人の気持ちを尊重して、異なる意見もしっかり聞くことを今では心がけています。

Q4: 毎日の仕事のなかで、いちばん大事にしていることはなんですか?

「自分なりの価値」を出していく意識ですね。常に「いい仕事をした」と言える状態でありたいです。

パワーポイントの資料作り一つとってもそうですし、ミーティングでもそう。「僕が今日この場にいることで、仕事が前進した」と言えたらすばらしいじゃないですか。小さなことでもいいから、一日一つは「自分なりの価値」を仕事において出そうと思っています。

Q5: もし、いま20歳だとしたら、どんな仕事をしようと思いますか?

僕が20歳のときはWindowsの黎明期でしたが、今だったらAIを専門でやっている会社に入るんじゃないかな。AIの新しいロジックを研究して論文を書いたり、AIを計算するハードウェア性能を引き出すプログラムを書いたりする職種を希望している気がします。

以前に比べたらAIの分野も発展しつつありますが、まだまだ活用できる企業は限られているので、AI活用の可能性をもっと広げられたらと思います。これから成長していくであろう未開拓の領域は、日々新しい発見があって楽しそうですからね。

話していて思いましたが、これって、今やっている仕事ですね。頑張ります。

Q6: 気持ちが沈んだ時、どのように気持ちを切り替えますか?

失敗を引きずらないですし、気持ちが沈んでも寝たら忘れます。あとは、人と話すことで気分転換ができているかな。たぶん、小さいことまで含めたら1日100回は失敗しているかもしれません。でも、もし取り返しがつかない失敗をしてしまったら、そもそも生きていない気がするし。考えてもキリがないことは考えないようにしています。

Q7: これまで観たなかでお気に入りの映画はなんですか?

個性の異なる者同士が協力して、大きなことを達成する映画をよく観ます。例えば、『オーシャンズ11』(スティーブン・ソダーバーグ監督/2001年)や、『陽気なギャングが地球を回す』(前田哲監督/伊坂幸太郎 原作/2006年)、『ルパン三世』シリーズなどです。

思えば、僕がアメフトに熱中した理由も根源は同じ。アメフトって、「走るのが速い」「蹴るのが上手い」「力が強い」といった一芸に秀でた人間の集まりなんです。どんな人間であっても、集まれば物事を成し遂げられる、というチームワークを感じられるものが好きですね。


Q8: いま注目していることはなんですか?

「世の中を便利にするもの」には常に注目しています。

現時点である程度便利なものは、これからも確実に進化します。なぜなら、便利になればなるほど、次の課題が見つかるからです。すでにスマホはとても便利ですが、おそらく「タップするのさえ煩わしい」、「小さい画面なんかみたくない」という時代がくるでしょう。

それを踏まえて、今特に注目しているのは「AR/VR」や「脳波」の領域です。次世代のデバイスは、これらのテクノロジーを軸にして誕生するんじゃないかな。

個人的には、自動翻訳の技術がもっと発達して欲しい。長年米国で働いていたのに、英語が苦手なんです。ちなみに、このような話題になると「通訳の仕事が奪われる」と言われがちですが、僕としては「翻訳の学習データを作る仕事」に置き換わるだけだと感じています。テクノロジーの発達によって無くなる仕事もあれば、生まれる仕事もありますからね、悲観する必要はないと思います。

Q9: 10年後、どんな時代になっていると思いますか?

10年後の日本は、労働人口が減っていると同時に、成熟社会も迎えているはず。そうなると、人々の興味は「スポーツ」や「ヘルスケア」、「娯楽」などの“余暇”に向き始めるので、その分野での新しい産業が成長しているでしょうね。

アメリカでは、スポーツ産業の市場規模が右肩上がりに伸びていて、2019年の市場規模は735億ドルに達するといわれています。日本の場合は、スポーツというよりはヘルスケア分野の産業が伸びるでしょうが、少なくとも現在の産業構造は変化するはずです。今後ますます高齢化社会になりますし、余暇を楽しく過ごそうという潮流は加速していくと思います。

Q10: 人生において成し遂げたいことはなんですか?

ずっと「自分なりの価値」を出し続けていきたいです。確かめる術はないですが、「自分が生まれた世界」と「生まれなかった世界」で何かしらの差分があればな、と思うんです。

僕は発明家になることはできませんが、今の立場で、「日本のデータビジネスの発展速度を加速させた」と言える仕事はできます。そのためにも、データフォレスト構想(*1)は絶対に成功させたい。この取り組みでは、もちろんヤフーに貢献することも考えていますが、それ以上に「日本のためにやっている」という意識が強いですね。あらゆる企業がデータを活用できる社会になれば、GDPの向上にもつながるはずですから。

多くのデータを保有するヤフーだからこそ、データから得られる知見を社会に還元していきたいですし、それがCDOとしての僕の責務だと考えています。

注釈:
(*1)DATA FOREST(外部サイト)

プロフィール

ヤフー株式会社 執行役員 チーフデータオフィサー(CDO) 兼 データ統括本部長  佐々木潔氏

2009年、ヤフー株式会社に入社。ヤフーが提供するマーケティングプロダクトや、全社のデータ利活用を支えるデータプラットフォームなどの研究開発に従事。2017年4月より、執行役員 データ&サイエンスソリューション統括本部長 兼 チーフデータオフィサー(CDO)に就任。2018年4月から現職。

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